◆ボンバーキング◆
マル超シリーズ第1弾



発売日:1987年8月7日   発売元:ハドソン   ジャンル:ACT
値段:5500円   おすすめ度:2.5(暗闇と即爆破の恐怖)


太陽系から、はるか遠く離れた銀河のどこかにある惑星、名をアルタイルという…。 この荒れ果てた惑星に、1体のアンドロイドがその危機を救うために宇宙からやってくる。 時に、アルタイルで使われる西暦アルタイル起源2036年という、遠い未来の出来事であった。

かつてこの惑星は、緑に囲まれた美しい星で、多くの人間や動物達が平和に暮らしていた。 同時に、地球によく似た星でもあり、豊かな自然の恩恵を受けた生き物達はそれを永遠に受けられるはずであった。

ところが、そんな平和な惑星に突如、原因不明の大寒波が到来、春のように暖かかった気候は一気に寒い冬へと変貌させた。 一気に大寒波に覆われたアルタイルは、緑豊かな惑星から枯れた植物が次々と並ぶ荒れ果てた大地の星となってしまった。 この惨状に、今までの星の温暖な気候に慣れ親しんでいた人々は、突然の冬の来襲に大混乱をきたしていた。

春から冬への急激な季節の逆戻りの原因は、アルタイルに異次元から侵入した謎の機械生命体によるもの。 アクアブレイン、ファイアブレイン、アースブレインの3体で、別名『傷ついた制御コンピューター』とも呼ばれていた。 彼らは、アルタイルの気候を調整している気象コントロールシステムに入り込み、惑星の温暖な気候を極寒な気候にしてしまったのだ。

この他彼らが引き連れたであろう異形の怪物達による大挙襲来も、アルタイルの気象変動をもたらす要因にもなっていた。 このまま彼らを放っておけばでは、いずれアルタイルは生き物が住めぬ惑星へと変わり果ててしまうだろう…。

これを阻止するために立ち上がったのが、惑星アルタイルの出身ではないアンドロイドであった。 名をナイトといい、アルタイルの危機を救うべく侵略者に立ち向かった正義の戦士である。

荒れ果てているアルタイルを、元の緑豊かな平和で美しい惑星に戻すには、機械生命体達が引き連れてきた怪物達はもちろん、 3体の機械生命体もろとも叩き潰し、彼らによって支配されている気象コントロールシステムを取り戻さなければならない。

かくて、アルタイルの危機を救うべく立ち上がったナイトは、宇宙船でアルタイルに向かっていった。 「気象コントロールを取り戻し、アルタイルを緑豊かな惑星に戻さなければならない。」ナイトは、そのことを胸に刻み惑星の大地に降り立った。 機械生命体と、彼らに従う怪物達との戦いの幕が、今まさにあがろうとしていた!


ボンバーマンシリーズの続編ではあるが、正式には全体的なシリーズの第2弾であって、FC版の初代からの続編ではない。 それについては後述するとして、同時にこのゲームは『マル超シリーズ』の第1弾でもある。

ハドソンは、ボンバーキングをはじめとして『ファザナドゥ』、『桃太郎伝説』の計3本をマル超シリーズの1本として発売したが、 その由来はマル超がつくほど難易度が高いゲームシリーズであり、いうなればハドソンの挑戦状でもあったが、難易度が高かったのはボンバーキングだけであって、 指定された他の2本は特に難易度が高いわけではなく(桃伝は単に獲得経験値や金が少なすぎて時間がかかるだけ)、シリーズ自体登場した87年のみで収束してしまった。 おそらく、ソフト開発をPCエンジンメインにしようとしたことと、シリーズ自体鳴り物入りで登場した割にはそれほど衝撃的ではなかったためと思われる。

難易度が高いことは、ヘビーゲーマーにとって喜ぶべきものだったが、不条理な高い難易度となるとその手のユーザーでもそっぽを向くことに繋がりかねず、最悪クソゲーと呼ばれてしまう。 本作も、不条理な難易度のためにクソゲーと呼ぶ声が多い一方で、面白いという声も多いという賛否両論という形になっている。

なぜ、本作が不条理な難易度になってしまったのかというと、当時を知る多くのプレイヤーは真っ先に『爆弾の設置から爆破までの時間が極端に短い』と答える。 そう、爆弾を置いてから2秒ほどで爆発し(設置した後自動的に後退するのはそのため)、巻き込まれたら最後死亡し、 バッテリーバックアップはもちろんパスワードすらない(コンテニューはあるが、その場合今進んだピリオドの最初のステージからやり直しとなる)。

おまけに、残機の概念がないために一度死んだら即ゲームオーバーになってしまう。 これらが、不条理な難易度になってしまったのは疑いない事実である。


ただし、得点が経験値となっているためか、ステージを進むごとにナイト自身が強くなり最大体力も上がっていって、爆弾の爆破に巻き込まれても死なない。 もっとも、体力は大幅に削られる上にそれにお目にかかれる場面はあまりない。 しかも、この設定自体ハドソンからの説明はなく、今まで爆破に巻き込まれてゲームオーバーだったのが、突然体力が大幅に削られるだけになったのか、不思議に思う人もいただろう。

ステージ構成も、不条理な難易度の1つとなっているが、全てのステージの中にいくつかループしてしまうものがあり秘宝を取らなければ解除されず、 ナイトの体力が自動的に少しずつ減っていくという制限時間ととめ止めなく出てくる敵とあわせて、難易度を不用意に上昇させているといえる。

ボーナスステージも用意されていて、秘宝や各ステージに必ず用意されている鍵とあわせて、特定の場所にその入り口を現す階段が出てくる。 そこに入れば、ゲームを有利に進めるアイテム(これも後述)がごろごろと出てくるのだが、地下という理由からか画面は真っ暗な上に敵もわんさか登場している。

画面を明るくするキャンドルかランプがなければ、アイテムはもちろん地上への脱出口が見えず(敵は見える)、多くのプレイヤーが路頭に迷った挙句、爆弾で自殺する人が後を立たなかっただろう。 もはや、この時点でどこがボーナスステージなのかわからないが、ハドソンはアイテムがふんだんに用意されている場所がボーナスステージという見識を示したのだろう。

アイテム部屋という、地下世界とは違ったボーナスステージも用意され、そこでは1画面で敵がおらずいくつかある像を壊してアイテムを手に入れる仕組みになっている。 だが、はずれの像もあり壊すとその他のアイテムが一切手に入らず、ボーナスステージも不条理に難易度の上昇をあげてしまっている。


不条理な難易度の高さがかなり有名な本作だが、独特なシステムと世界観も知名後が高い。 爆弾所持に制限があり、それを敵を倒して必ず出る爆弾をストックしたり、ショットが新たに通常武器として登場したり、 スクロールできなかったりライフ制になったり、ステージの名称が『ピリオド』になって各ピリオドクリアごとにショップでアイテムを買えたりなどある。

そのアイテム、先に挙げたキャンドルやランプの他に、ミサイルや浮き輪もあればバリアや体力回復アイテムがあるという、初代とはまるっきり趣が異なっている。 爆弾の配置数や火力アップが削除されたことで、かなりアクション性を高めている。

特定ピリオドの最後のステージに登場するボスの存在も大きく、爆弾ではなくショットやアイテムで倒すのはあまりにもボンバーマンシリーズらしからぬものだ。 デザインが、既に一般のシリーズとはかけ離れた怪奇さに満ちていて、ナイト自身もシリーズとまるっきり違う姿になっている(パッケージ自体かわいらしさはまるでない)。 ストーリーもシリアスで、全体的にボンバーマンと思わせる要素はあまりない。

しかし、ボスや3−2のようなピリオドの存在が、以降のシリーズに影響を与えているのは確実で、派生版の意味合いが強くなっているものの、 現在の歴史を考えればさすがに厳しすぎる目で見るわけにはいかないだろう(ゲーム内容はそうはいかないが)。 BGMも、当時としてはかなりいい出来で、初代のミニマル風なものと比べても十分対抗できる。


カラオケモードも、当時の人が語るに置いて外せない要素の1つとなっている。 最初のステージをクリアして以降、ゲームオーバーになるとタイトル画面にカラオケモードが出る。

カラオケとはいえ、大きなフォントで漢字が出るのはアクションはもとより当時のFCでは例がなかったが、それよりもカラオケモード自体ネタにされてしまっている。 なお、このテーマの歌詞は2番まであるが、ゲーム中に流れる歌詞が1番しか流れないのは、単に容量不足なのかもしれない。

最後に、4年後に登場する本作のリメイクだが、ハドソンではなくサンソフトになっている。 おそらく、ハドソンから本作の版権を買い取ってリメイクを作っていたと思われる。

そもそも、デザイン的に本シリーズらしからぬデザインで、リメイクこそ本シリーズに近づいているものの、ストーリーはほとんど変わってないため、 海外で同社の関係ないソフトの続編になっているが、海外のユーザーの多くは特になんとも思わなかったあたりが、いかにも本シリーズとは異質の存在に見られているのが悲しい。


私は、発売当時友達からこのゲームを借りて、かなりやりこんだことが何度もあった。 コロコロコミックの読者でもあったため、このゲームが大体的に特集しているのを見て、ますますこのゲームに熱が入った。 設置して、2秒ほどで爆破する仕組みなど熱中している私にはまるで通じず、BGMのかっこよさと多彩なアイテムで敵やブロックを次々と破壊していく様は、子供ながらに快感に満ち溢れていた。

それから約17年後、レトロゲーム熱に力が入った私は色々とレトロゲームを買い込んだが、ボンバーキングもついでに購入した。 その時私は、昔の記憶が一気によみがえり、帰って早速プレイしてみたいとわくわくしていた。

だが、そんな希望はプレイしてからほんの数分足らずで、ものの見事に打ち砕かれた。 なんといっても、爆弾を設置してすぐ逃げなければ爆発に巻き込まれて死んでしまったため、その時の私は一瞬何が起こったのかわからなかった。

ようやく事を飲み込めた私は、こんなに死にやすいゲームだったのかとショックが大きかった。 また、ボーナスステージの地下迷路にしてもキャンドルやランプがなかったため、うっかり入ってしまった結果真っ暗でどうすることもできず、爆弾で自爆するしかなかった。

小さいころ、何度かクリアしたにもかかわらず大人になったらクリアできない体質になったのは、17年という長い年月がそうさせたと思う。 他のゲームもそれに当てはまるのだが、このゲームだけは長時間プレイした末にやっと勘を取り戻せた。 ネットでこのゲームを調べていたら、理不尽な難易度の高さで話題になっていることを知り、当時何度もクリアできたのはこのゲームをやりこむほど大好きだったことに他ならないのかもしれない。

それから数年後の現在、初代ボンバーマンをレビューしたのだからついでにこのゲームもレビューしようという気になり、三度やりこむことにした。 前回のプレイから、それほど長い年月は経っていないので発売当時とまではいかなかったものの、前半まではさくさく進めた。

しかし、ピリオドの最後に必ずボスが出てくるあたりから厳しくなり、コンテニューで2,3回ほどピリオドの最初からのやり直しを強いられた。 その中でのボス戦は、爆弾よりもショットやアイテムで倒すのがメインとなり、この展開が本シリーズと比べてかなり異質なのがよくわかり、 子供のころに気づかないものが大人になって気づいたのは、当時があまりにものめりこめすぎた結果真実が見えなかった証なのだろうか。



本日のまとめ



駆け抜けろ 駆け破れ ナイトー

(08/5/26レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年6月1日
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