◆ロードランナー◆
バンゲリング帝国三部作第2弾



発売日:1984年7月31日   発売元:ハドソン   ジャンル:パズル
値段:4500円   おすすめ度:3.5(時間差崩しのトリックと奥深さ)


ここは、世界のどこかにあるのは確かだが、その所在場所が特定できない謎の秘密国家バンゲリング帝国。 その奥深くにある地下金庫に、ある人物がバンゲリング帝国が保管してある金塊を根こそぎ奪おうとしていた。

その人物こそ、圧倒的な資金と軍事力で地球征服をもくろむ悪のバンゲリング帝国に敢然と立ち向かうある組織が放った工作員通称『ランナー君』であり、 帝国の地下金庫にある金塊全てを奪い帝国の支配体制を根幹から揺るがして、バンゲリング帝国との戦いを一気に有利に進め、最終的には帝国軍を壊滅することを支援するのが彼の役目なのだ。

しかし、金こそ支配体制に影響が左右されるのは歴史の常であり、バンゲリング帝国はこの事態を防ぐために地下金庫を警備するロボットを多く配備、侵入者抹殺のためいたるところに目を光らせていた。 しかも、帝国の地下金庫はかなり広く、それでいて通路も複雑極まりなくなっている上に、通路を構成する床は一度壊してもしばらくたてば再生し、 うっかり破壊した床にはまるとそのまま再生した床に飲み込まれて窒息死ということもある。 つまり、帝国の地下金庫は一般の地下金庫よりも警備が厳重で、かつ迷宮いや要塞に近い構造になっているのだ。

工作員の所持物は光線銃だが、これは単に床を掘るために作られたものであり、警備ロボットを破壊するために作られたものではないため、ロボットに光線を発射しても全く効き目がない。 だが、地下金庫の床は壊れてもしばらくたてば再生することを知っていたので、ロボットを床の穴に誘導して落としてしまえばロボットといえど再生する床に飲まれてしまい、結果的に一網打尽にすることもできるのだ。

また、ロボットの知能はそれほど高くなく、工作員の行動しだいでは彼らを全くの無力化にしてしまうことも可能だ。 無論、帝国の送り出すロボットの数は無限で、ロボットの駆除に躍起になっていればいつまでたっても帝国内の金塊を根こそぎ奪うことができず、 最悪ロボットの大群に押しつぶされてしまうこともありうる。

この危険極まりない迷宮とも評される帝国の地下金庫にもぐりこんだ工作員は、果たして主命を全うすることができるのか。 それとも、帝国のロボットとトラップで抹殺され、組織の勝利に貢献できない身となってしまうのか。


世界的に有名なパズルゲーム『ロードランナー』シリーズの記念すべき第1弾であり、ハドソンのサードパーティ参入第2弾でもある。 また、バンゲリング帝国三部作の第2弾でもあり、一応ストーリーは作られている。

バンゲリング帝国の金塊を根こそぎ奪うのがこのゲームのストーリーなのだが、これはPC版の三部作の設定であって、 FCに移植されたときは第1弾の『バンゲリングベイ』は発売されたいなかったため、当時このゲームのストーリーを知っていたのはPCユーザーだった。 事実、三部作のストーリーが詳細に判明されるのはもうしばらく後であり、プレイヤーはストーリーよりもゲームの面白さに目を向いていたといえる。

内容も単純で、迷宮にも見える地下金庫にある金塊全て奪い取り、プレイヤーを殺そうとしつこく追ってくるロボット達をかわしながら、 金塊を全て取った後に上に伸びるはしごにのぼってステージを1つずつこなしていく。 ただそれだけなのだが、迷宮の複雑さとロボットのパターンなどにより、ゲーム画面を見ただけより実に奥深いものになっている。

ジャンプやロボットを攻撃することができず、再生してくる床に飲まれたりロボットに触れたらミスとなり、くぼみに落ちたら一巻の終わりである。 ロボットについては、上に乗ることもできるがそれはロボットが穴にはまったときや空中に存在しているときだけ(なぜか接触しない)。


しかし、現在になってもいまだ高い人気を維持し続けているのは、シンプルかつ奥深くてある程度プレイすれば誰でもできるテクニックが多く存在していたためだった。 特に有名なのが、やや高等ながらもクリアに必須となったテクニックは『時間差崩し』であり、 壊したレンガが復活する時間を視野に入れて次々と掘っていき、主にレンガの奥深くに眠る金塊を入手するために使われる。

最初は、レンガの層は1段か2段つ程度なのだが、ゲームが進むごとに5段以上の厚い床が登場、 ロボットの動きも合わせてゲーム後半が時間差崩しの本領を見せ付けることができるか、まさにプレイヤーの判断が問われるわけだ。

もう1つ有名なのが、ロボットをくぼみに誘導して動きを封じるもので、ここでのくぼみとはプレイヤーが掘った穴のことではなく最初からステージに用意されている穴のことを指す。 プレイヤーを追い詰めるロボット達は、なかなかにトリッキーな動きを見せている上に金塊を持ち去るという手段も持ち合わせているが、 穴を掘る手段を持ち合わせてないために穴に落ちてしまったらそれまでで、プレイヤーがロボットたちが動けない場所に誘導する手段もあわせて、これも必須のテクニックと評されている。

特に9面は、ロボット達の動きを封じる格好のステージとして有名で、ステージ左上のくぼみに誘い出されて身動きが取れないロボット達を尻目に、 悠々と金塊徴収にいそしめることに快感を覚えたプレイヤーは数多いだろう。

この単純ながらも奥深いテクニックの数々に、シリーズ誕生の元になったPC版とアーケードゲーマーに愛されてきたAC版、 そして一般人に知名度が高いFC版により、世界中でロードランナー熱がヒートアップしたのは言うまでもない。

ダウンタウンの松ちゃんは、AC版の苣体をわざわざ購入するほどこのゲームを大変気に入っていて、 後にダウンタウンがレギュラーのTV番組で『テトリス』や『ぷよぷよ』といったパズルゲームで他の芸能人と対戦するほどゲーム好きになっていった。 その出発点となったのは、このロードランナーであることは疑いない事実だろう。


メインの3機種、どちらもこのゲームの知名度上昇に貢献したのは間違いないが、その中でずば抜けて高かったのはFC版だろう。 FCというハードが、一般人を寄せ付けない値段であるPCと、子供達にはあまりなじみの薄い(と思われる)ゲーセンを押さえつけたといえる。 もちろん、PC版やAC版より基本性能が低いため、グラフィックやBGMなど多くの面において低基準であり、1画面で収まるステージが2画面以上になっている。

『スクロールする初のFCソフトはロードランナーである』と、ネット上に多く記載されているのだが、 それは『プレイヤーが自由にスクロールできるFCソフト』または『FC初のスクロールできるパズルゲーム』と言ったほうがよく、 スクロールできるといっても先に書いたように、ハードの質の低さのためにスクロール制をとったに過ぎない。 初のスクロールするFCソフトは、任天堂の『ホーガンズアレイ』なのだから(自由ではなく強制)。


PC版に定評があったエディットモードが、たった1画面でしかできないことも性能の低さに加えて、複雑なステージを作るのに時間がかかってしまうと思ったのかもしれない。 それでも、自分の手でオリジナルのステージが作れることはうれしいことだ。 もっとも、セーブができないFC版では恩恵が薄く、主に余興として楽しむことが多かったようだ。

ただし、ファミリーベーシックのデータレコーダーでエディットステージのセーブができるので、 それを所持していたプレイヤーはカセットテープの数に応じて、自分なりのステージを次々と作り出しそれを知り合いに自慢してたのは容易に想像できよう。 無論、ファミリーベーシックの値段はFC本体と並ぶほど高価で、エディットの恩恵にありつけたのは主に金持ち層だったのが、FC版のエディットの意義の低下をうなずけている。

しかしながら、FC版は全50面用意されている上に、ステージ名表示中にセレクトを押せば自由にステージを選択できるので、 攻略法がテクニックによって複数用意されていることを考えればかなり飽きが来ず、 「今日は1面から10面までクリアしたから次は20面から25面までクリアしよう」という余裕も生み出していると考えられよう。

最後に、このゲームのタイトルは『Lode Runner』であって『Road』ではなく、ランナーは走る人という意味ではなくランナー君という名前であるのに注目したい。 その名前は、しばらくは有名になったもののとたんに忘れ去られたのは、その名前と彼に関するストーリーのゲームが出てこなくなったためなのだろう。


このゲーム、私の別のいとこから小さいころに貰い受けたものの1つで、他のソフトとともに飽きるほどまでやりこんだ。 思い出に残っているのはなんと言ってもエディットで、1画面ながらも色々なステージを作るのに躍起になっていた。

それこそ、金塊だらけのステージやレンガを会談に仕立てたステージなど、作るたびに妹と笑いながら楽しんだ。 もっとも、ロボットがおらず誰でも簡単にクリアできるステージばかり作っていたので、難しいステージを作るのは単に笑いを取るだけだったが。

実際プレイとなると、最初から数面程度しかクリアできず、いつもロボットに囲まれるかうっかり自分の掘った穴にはまってミスっていた。 最初のステージにしても、何回かミスをした後にようやくクリアできたという有様で、 譲り受けた時期にしてもこのときのファミマガといったゲーム雑誌はこのゲームのことなど紹介しておらず、 時間差崩しのことなど全く知らなかったが、そこは勘と経験で覚えることができた。 その頃になると、ロードランナーよりも他のゲームに夢中になっていったので、次第にこのゲームをプレイすることがなくなっていった。

それから20年近く後の現在、適当にニコニコ動画でレトロゲーム関連の動画を検索していたとき、このゲームの動画を偶然にも発見、 それも50面のクリア動画やAC版のものだったので、AC版を初めて見る私にとって感動に値するものだった。 それ以後、久々にこのゲームを引っ張り出してプレイするようになったものの、最初はプレイした感触を完全に失っていたので、相変わらずミスし続けた結果にクリアできたことが多かった。

しかし、次第にミスなくクリアできることが多くなり、やや高等ながらも必須のテクニックである時間差崩しをある程度習得できるようになった。 とはいえ、ロボット達の動きにあわてて掘るボタンを間違えた挙句、追い詰められて自滅したことも多いので、まだまだうまいとはいえない。

しかも、最初から連続して30ステージまで到達できたのはいいのだがどうも面倒くさくなったので、ここから面飛ばしをやるようになった。 そこでわかったことが1つあるが、プレイヤーの残機が増えやすいのはいいもののその最大がたったの9しかないのは、ちょっと問題があると思う。

ミスしたときの救済措置(そのステージに取った金塊は戻さなくてもいいなど)もないのもつらいが、 以降のシリーズでもそのスタンスが継承されているのを見るに、最初から全ての金塊を奪ってゴールするのが通なのかなと考えてしまう。



本日のまとめ



フ〜、ヤレヤレ

(08/4/28レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月31日
◆目次に戻る◆


inserted by FC2 system