◆麻雀大会◆
麻雀大会シリーズ第1弾



発売日:1989年10月31日   発売元:光栄   ジャンル:麻雀
値段:7800円   おすすめ度:3(光栄SLG大戦の面子揃い)


コーエーといえば、今でこそ「『真・三国無双』といった無双シリーズや『アンジェリーク』といった恋愛ものなど、 家庭用ハードからも登場させジャンルも多岐にわたっているのだが、『光栄』と呼ばれていた頃は歴史SLGやリ・コエイションゲームなど、 ほとんどのSLGはPCからの登場で、内容も大人だけ振り向きそうな硬派なものがずらりと並べられていた。 FCといった、家庭用ハードに移植されているものもかなりの数に上っていたが、内容と値段で当時子供主体だったユーザーを圧倒した。

その一方で、SLGとは無縁のゲームを家庭用ハードに移植していったことも事実で、その数はSLGよりかなり少なく知名度も低い。 というより、SLG以外のゲームを出していたのかという疑問が多く、それほどまでに光栄時代のSLG以外のゲームは少ない。 当然続編も発売されておらず、PCユーザーでも光栄作品の定番といえば誰もがSLG関連と思うはずだ。

しかし、SLG以外において最も知名度が高く、2008年現在もWiiで新作が発売されているものがある。 それは『麻雀大会』で、当時はSLGの陰に隠れ今もPC版の頃ではないにしろ、無双シリーズやSLGに押されているのは事実。 それでも、『信長の野望』や『三國志』のように続編が数多く発売され多くのハードに移植されたりしているので、 知る人ぞ知るという知名度は得ているものの、全体的に爆発的な人気を得ているとはいい難い。

だが、そこは『腐っても鯛』ならぬ麻雀、任天堂の麻雀のように安定した売り上げは見せているが、さすがに約213万本の売り上げはない。 それに、光栄ならではの要素もふんだんに盛り込まれているのだから、一般の麻雀ゲームとは一味違うことは確かだ。

その1つに、日本や世界の歴史に登場した偉人が雀士役を担当していることで、今までの麻雀ゲームにも歴史上の登場人物が出ていたが、 その数は少なく多くが有名人のパロディや物語の登場人物と混ざって登場しているに過ぎなかった。

麻雀大会では、15人中1人を除いて全員歴史に出てくる偉人ばかりで、そこは歴史SLGの光栄といったところだろうか。 その面々は、日本の織田信長や武田信玄を初めとして、世界ではユリウス=カエサル(英語名:ジュリアス=シーザー)や聖徳太子など歴史を学ぶ人にとって、必ず出てくるであろう人物ばかりだ。

雀士の華である女性陣も、楊貴妃と小野小町とクレオパトラの3人で、歴史に偉大な名を残したというより『世界三大美人』での偉人ということで選ばれたようで、 戦いや政治で華々しい活躍を残したとはいえないのはちょっとさびしいが。


しかし、このゲームで歴史上の人物と麻雀ができるという謳い文句は、単なる建前に過ぎないのではないかというのだ。 というのは、麻雀ができる歴史上の偉人14人のうちこのゲーム発売当時(1989年)に、光栄SLGに出ている偉人は半数の7人になっているためだ。

織田信長、武田信玄、坂本竜馬、勝海舟、西郷隆盛、諸葛亮孔明、チンギス=ハーン(ゲーム上ではジンギスカンと名義)のことで、 登場するゲームも『信長の野望・全国版』、『維新の嵐』、『三國志』、『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』の4作となっている。 それぞれ、そのキャラが親になるとアレンジされた形ではあるが、そのゲームのメインテーマであるBGMが流れてくるのだ。

つまり、光栄SLGの宣伝に近い形で登場することになった彼らだが、光栄SLGとて当時は世に送り出している数はあまり多くなく、 光栄SLGファンになったばかりのユーザーにとっては、4つのSLGの登場人物が別の形で集結するあたりは驚いたことだろう。

史実にあわせて、キャラの表情や台詞も表現されており、リーチやツモなどを出したときはうれしそうな表情を、 逆に相手の役の当たりを食らってしまったときは落ち込んだりなどと、かなりユニークで麻雀が苦手でも歴史SLGを知っている人に配慮しているようだ。

特にFC版は、維新の嵐の移植版が発売されていないため(翌年の9月発売)、FC版に先駆けて登場しているあたりは、 専用のBGMが流れているのを聴いて、FC版の予行にはわずかだがなったのかもしれない。


面子も順調そうに見えて、三國志だけ劉備(もしくは曹操か孫権あたり)ではなく孔明が出ているのは、 ゲーム本編で孔明が軍師になったときに言う台詞『諸葛亮いわく』が、劉備達を食うほどの人気を集めたのだろう。

その他の作品について、蒼き狼と白き牝鹿では、チンギスしか登場してないのは彼が主役であり、信長の野望では信長と信玄が登場しているのは、 初代においてプレイできる大名だったため(信玄は2P専用)、維新の嵐では主人公で有名な3人を選んだのだろうが、 思想において竜馬と海舟が公儀で隆盛が尊王ということと、PC版のOPに維新三傑のパロディと思わせる『英傑三士』と出ているあたり、単なる光栄の独断と思えなくもない。

他の面子にしても、ナポレオン=ボナパルトや伊達政宗は前者が『ランペルール』で後者が『武将風雲録』に登場していることを考えると、 麻雀大会開発中においてそれらのゲームが開発中もしくは構想段階にあったと思われ、それ以外の5人の歴史上の偉人がかすんで見えるのは少々問題があっただろうし、 逆に光栄作品の偉人だけで占めたらどうかという意見もあるだろう(主に女性人は、ボルテや北条政子といったジンギスカンのオルドの面々で)。

なお、14人の偉人の中に1人だけやや場違いな人物、やや左下のサングラスをかけている人物(勝海舟の下、チンギスの左、クレオパトラの上)に注目したい。 彼こそが、光栄作品のほとんどを手がけたといわれる名プロデューサーシブサワ=コウ氏で、当時は謎の人物として光栄ファンからの注目の的とされていたし、 既に『八手三郎』や『矢立肇』といったペンネームの存在でしかないと割り切る人もいただろう。

現在は、社長の襟川陽一氏と判明しており(2000年に正体を明かす)、昔シブサワ本人と麻雀をした人はそれが襟川社長だったとは夢にも思わなかっただろう。 そのせいか、シブサワにおける麻雀の腕前はかなりのもので(襟川社長本人の腕は不明)、ゲームに出た原作者が異常に強い設定は、 ハドソンの『桃太郎電鉄(さくまあきら氏は鉄人級と表記されている)』シリーズなどに受け継がれている。


このゲームに、光栄作品の偉人の面子の他に、もう1つなくてはならぬ要素がある。タイトルにもあるように、大会ということでそれのモードがあるということ。 16人を4組に分けて対戦を行い、予選を勝ち上がった1位と2位が準決勝に進んでその8人を2組に分け、さらにそれに勝ち上がった1位と2位による決勝戦が行われる。 決勝戦で、最下位以外の3名が賞金を受け取るという形で大会は終了する。

だが、その賞金は普通の麻雀で勝ち続けなければ表示されず、大会モードはあくまで一般の麻雀をやりこんだ人のためのご褒美というものである。 つまり、大会をプレイしたければ何回も通常の半壮をしなければならないのだが、幸いバッテリーバックアップがついているおかげでせっかくためた賞金を自動的にセーブしてくれ、 自分の成績もしっかり記録してくれるので、偉人達より高い順位を目指すのも面白い。 これで、時間の許す限り大会の最高賞金も上げることもでき、偉人達の知名度にふさわしい大会を催すことも可能だ。


こうして、一般の麻雀で勝ち進んで賞金を稼いでいくわけだが、もう1つの稼ぎ方に競馬でのシステムが存在する。 大会モードの決勝において、1位と2位になる面子を選ぶことができ、見事的中すれば大会賞金とは別に配当金が手に入る。

予選や準決勝で涙を呑んだプレイヤーにはややうれしいものなのだが、そのときには既に大会が終わって結果発表となるのがさびしい。 キャラごとの表情や台詞あってのゲームなので、CPUだけの対戦も入れておくべきだったが、自分が参加できない麻雀を見させるのは苦痛と思ったのだろうか。

ところで、光栄のFCソフトで値段がSLGの最低価格の9800円を下回ったのはこのゲームだが、 据え置き型のROMカートリッジにおいて93年発売の『SUPER信長野望・全国版』の8800円をも下回ったのもこのゲームだけ。

おそらく、容量が1Mだったことと光栄はSLGで成り立っているということも考えて、一気に値を下げたのだろう。 もちろん、子供達にとっては相変わらず高い買い物だが、この頃になると7000円に近いFCソフトも続々登場しているので、それを考えれば割安感はあるだろう。


麻雀大会自体、SFCの『SUPER』の頃からゲーム雑誌内の広告で知っていたが、FC版となるとそれを知ったのは5年ほど前で、 それもちょっとだけしか紹介されていないサイトで知っただけなので、そもそもこのゲーム自体徹底的に紹介しているサイトを見たことがない。

初めてプレイしたのも現在で、それもニコニコ動画での光栄作品のOP集を見て、とりあえずやってみるかという心境に過ぎなかった。 私がいつもビビビッとくるのはSLGであって、麻雀自体よほどのものがない限り素通りするのが普通だった。 したがって、いつも通っている中古ゲームショップで箱と説明書付きで980円で購入したが、普通の麻雀だったら『その他ゲーム紹介』で適当に紹介して終わりにする予定だったのだ。

しかし、面子の選定のセンスや彼らの特徴を垣間見るに、即座に一般のゲームレビューで紹介することに切り替えた。 それ以前に、ニコニコ動画でのOPでは坂本竜馬と勝海舟と西郷隆盛が、歴史上というよりゲームでの登場という形で紹介された時にもしやと思ったが、 織田信長・諸葛亮孔明・チンギス=ハーンの面子で対局して一気に心が躍り出た。

全国版、三國志、蒼き狼と白き牝鹿…、どれをとっても最近プレイしたばかりだがBGMでかなり懐かしさが出たのも事実。 アイテムや裏技などによるいかさまはないが、その分偉人が登場するゲームに印象が残り、その場合だけそれらのBGMを聴くために意図的に自分の思考時間を延ばしたりしたものだ。

なお、私の麻雀の腕は相変わらずさっぱりで、それ以上に相手がツモをやりたがるために運も見放されているという形になっている。 ただ、今まで適当にチーやポンで上がりを狙う私だったが、そのたびに他の面子達から嘲り笑うような言動が多く見られた。

事実、それで上がったときは役が低く得点も低かったので、麻雀は主にリーチでやっていくものなんだと考えるようになった。 特に、孔明は安い上がりで点数も低くなるというヒントらしき台詞を出していたので、初代三國志において孔明の的確な軍師予言が話題となったことを考えると、むかっ腹が立ったというより逆に恐ろしくなった。

これ以降、東南西北と白發中の文字牌以外は極力チーとポンを避け、リーチで大きい役と得点を狙っていった。 人様の教えでもさっぱりわからなかった麻雀だったが、単純そうに見えて奥が深い台詞に私は思わず一喜一憂することになった。 いずれ、SFC版もプレイしてみたいが、これはFCのSFCへの移植ではなく第2弾となっているらしい。



本日のまとめ



このれいは きっとするぞ!

(08/3/12レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月29日
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