◆悪魔城すぺしゃる ぼくドラキュラくん◆
初、ドラキュラ側が主人公



発売日:1990年10月19日   発売元:コナミ   ジャンル:ACT
値段:5800円   おすすめ度:3.5(シリーズの高難易度を抑えた作り)


ここは、世界いや魔界のどこかにあるというドラキュラ城で、舞台は中世や近世ではなく現代。 ここには、かつて人間世界を震え上がらせたことで有名なドラキュラ伯爵が住んでいましたが、 彼はとある事情で出払っていたため、現在城に住んでいるのは彼の配下の怪物達と執事の死神、それと彼の息子であるドラキュラくんだけ。

まだ9歳ほどの子供ですが、父親譲りの能力を持ちいずれ後継者に任せられるほどでした。 そんな彼は、ドラキュラ一族恒例である一万年の眠りにつき、その間は特に異常もなく平和な日々を送っていました。

そして、1万年の時を経てようやくドラキュラくんが目覚め、城の指揮をまかされるようになりました。 そんな彼が最初にしたことは、大好物の生き血ではなくフレッシュトマトジュースを飲みながら、それを片手にテレビを見ることでした。 その時、ドラキュラくんの部下であるこーもりくんが、ドラキュラくんの優雅な時を狙って襲い掛かってきたではありませんか。

襲い掛かってきたのはこーもりくんだけではなく、フランケンやゾンビといった父ドラキュラの配下のほとんどでした。 彼らをまいた後にドラキュラくんが知ったことは、彼が眠りについている一万年の間に大魔王ガラモスと名乗る怪獣が出現し、その強大な力で瞬く間に魔界を征服したということでした。 もちろん、ドラキュラ城も彼の支配下にあったため、かろうじてガラモスの配下になることを免れたのは死神ただ1人。

ドラキュラくんは、魔界や人間世界で好き勝手に暴れまわっているガラモスを退治するため、自分1人で立ち上がったのでした。 しかし、執事の死神は現在のドラキュラくんの能力に、いささか不安を感じずにはいられませんでした。 というのも、ドラキュラくんは一万年の眠りから覚めたばかりで、身につけていた能力のほとんどを忘れてしまったからで、唯一覚えていたのが一定時間溜めて放つことができる妖気弾だけでした。

ドラキュラくんは、時間が経てば忘れていた能力を思い出すことができると自信がありましたが、 心配性の死神にとってそれにたどり着くまでどのくらい危険が付きまとうことになるのか気が気でなかったからです。 果たしてドラキュラくんは、ガラモスを倒してドラキュラ城を取り戻し、人間世界と魔界の平和を取り戻すことができるのでしょうか。


FCのドラキュラシリーズ第4弾だが、舞台はもとよりタイトルも『スペシャル』がひらがなとなっていたり、シリーズの外伝作品であることがうかがい知れる。 だがなんといっても、今までシモンやラルフといった鞭使いのヴァンパイアハンターが主役だったのが、今作ではドラキュラ一族を主人公としている。 もっとも、敵はヴァンパイアハンターではなく主に大魔王ガラモスの手下で、キャラは敵味方ともコミカルになっていたりBGMも明るいものも多く、外伝と決定付ける証拠の1つといえる。

この作品の主人公ドラキュラくんは、雑誌やネットなどで『悪魔城伝説』のドラキュラの息子アルカードであるとの指摘が多いが、これは少々無理があるだろう。 確かに、容貌や複数の方向に打ち出せるショット、コウモリに変身できることなどアルカードとの共通点が多いし、最初のステージにおける時計塔を思わせるエリアもある。 しかし、ドラキュラくんは一族のしきたりにより一万年の眠りから覚めたばかりで、その間ラルフ達との出会いはなく今まで外とのつながりを断っているため、アルカードとの共通点はスタッフのお遊びという感じが強い。


ストーリーは、魔界を支配しているガラモスを退治することだが、今までのシリーズでは主にドラキュラ城とその周辺が舞台だったのに対して、 今作はドラキュラ城は1ステージ扱いで遊園地や砂漠(エジプトのピラミッド)果てはニューヨークなど、現代が舞台となる世界各地を回っていき、最終的に宇宙を飛び出すという破天荒ぶりをみせる。

かなりステージの個性が豊富で、敵についても多くがキョンシーやジェイソンといったホラー映画のキャラはもちろん、 キングコングやスパイダーマンといったホラー以外の版権のキャラも登場し、FC版『スプラッターハウス』をプレイした人なら思わずにやりとさせるものだろうが、 著作権が厳しい現在ではかなり厳しい(iモード版ではそのままに再現されている)。

また、ステージ5のボス戦ではクイズで行われ、そのクイズの形式もアメリカ横断ウルトラクイズのパロディで、ボスいや司会者自体自由の女神であり、 ボスにも版権のパロディが多く出ているわけだが、最初のステージのボスのデザインがKKKというのはちょっと不謹慎か。

ステージクリア後は、ボーナスステージに突入しステージ中に溜め撃ち妖気弾(後述)で敵を倒して入手して貯めたコインで行い、 その種類は4つで種類ごとに消費するコインの数でできるようになっている(コインが足りないとプレイできない)。

決定はあみだくじで行われるため自由に選ぶことができないが、バラエティに富んでいるため飽きがこず、ボーナスステージの共通のご褒美は残り人数増加だ。 選択シーンのアナウンサーもいい味出していて、5ステージ以降はめがねがサングラスに変更したりなど、アナウンサーのイメチェンもなかなかに面白い。

ただ、ボーナスステージによって難易度やコインの量といったプレイのしやすさに違いがあり、 ボーナスステージのご褒美も『夢工場ドキドキパニック』のボーナスステージと同じなのは言うまでもないが、多く残り人数を増やせるあたりは後発であるドラキュラくんが上だ。

ドキドキパニック同様、コインはほとんど使い切ってまでプレイすることになるものの、規定数未満のコインが残った場合そのまま持ち越しできるが、 そういうシステムがあるなら途中でやめるという選択肢も付け加えておくべきだったのではないだろうか。 そうすることで、苦手なボーナスステージを回避して、次のステージクリア後のボーナスステージに向けて多くコインを所持することができたと思うだろうから。


溜め撃ち妖気弾は、最初はノーマルの巨大妖気弾だが、ステージをクリアするごとに種類と特殊能力を得ることができる。 つまり、5ステージで全ての能力を得てからが本番で、それまでは練習ということで習得したばかりの技を次のステージにあわせて使う機会のあるシーンが多い。

それをあらわしているのが、ステージ4の上下針の山が続いているエリアで、そこをコウモリに変身して渡らなければならないのだがこれが非常に不安定で、 壁に当たったり5秒経つと解けてしまい、針の山は触れれば即死という厳しいもの。 これをクリアしてこそ、ドラキュラくんもプレイヤーも立派に成長したといえるだろう。

事実難易度は、今までのシリーズと違って低く抑えられていて、時間制限がなくコインも時間をかければほぼ無限に回収でき、 ボーナスステージの成績によっては今までのシリーズではありえない残り人数でのプレイも可能だ。 パスワードも、悪魔城伝説のようなネームとパスワードの内容をリンクしたものではなく、たった3文字という簡単さも大きくキーワードは『目覚める夜』をテーマにしている。 残念ながら、ステージの8と9にはないのだが、これは最終ステージに近いためなのだろうか。

それでも、難所と呼ばれるエリアをしっかりと出しており、先のステージ4の針の洞窟はもちろん、 やたら強制スクロールが多いことと足場が少ないステージが多いなど、明るいタッチが占めているこのゲームでも、一般のプレイヤーからすればやはり難しい。

とはいえ、ドラキュラシリーズをプレイした人にとってはそれほど難しくなく、なによりダークでシリアスかつ中世風の世界観と比べれば、あまりにも違和感が付きまとう。 現に、人気が高かったにもかかわらずこのゲームの続編はもちろんそれを受け継ぐシリーズは発売されていない(GBからは移植として登場した)。

しかし知名度はやや高く、その証拠にSFC版『極上パロディウス』やPS・SS版『実況おしゃべりパロディウス』に登場しているためだろう。 先にも挙げた、ドラキュラくんとアルカードの関係にも一役買っているかも知れない。 なお、パロディウスシリーズ登場において2Pはドラキュラくんの子孫扱いとなるキッドドラキュラで、一族高齢の一万年の眠りにつく前という設定が誕生している。


これは、当時私がプレイしてみたかったゲームの1つで、ファミマガの記事を読んでいたことに加えて、 ドラキュラシリーズが好きな私にとって「これは楽しめるものではないか」と、当時小学生だった私の心をときめかせた。

残念ながら、この時期は親が金を管理していたのでこのゲームをプレイすることが叶わず、GB版もやはり買えなかった。 結局、このゲームにも時が経つにつれて興味が失ってしまい、ようやくプレイしたのがレビューを書く2年ほど前だ。

ディスクシステムコレクションの初代ドラキュラを久々に楽しんでいたことと、偶然ながらにネットでドラキュラくんのレビューなどを見ていた私は、このゲームをプレイしてみたくなったという感情に駆られていった。 箱なしで790円で購入してプレイしたが、難しいゲームで有名なドラキュラを何度もプレイしていたため、最初のステージはもとより他のステージでも特に苦戦することなく進むことができた。


さすがに、ステージ4の針の山地帯はつらく、コウモリに変身して突破しようにも動きが不安定なばかりに、壁に激突したり針に激突して1ミスすることも珍しくなかったからだ。 それでも、ボーナスステージで残り人数をかなり増やしたし、何より溜め撃ち妖気弾で多くのコインを稼いだために、 ゲームオーバーになることはなかったものの、ドラキュラシリーズの難しさはしっかり継承しているなどうならせた。

結構明るい作風なのだが、最初のステージでKKKをオマージュしたボスを見たとき、思わず吹いたと同時にこれはまずいだろうと苦笑した。 苦笑したといえば5ステージ目のウルトラクイズで、当時人気があったとはいえわざわざボス戦を排除してまですることかと疑問に思った。

ボーナスステージでは、個人的にグサッといっぱつが一番好きでふくびきガラガラはあまり好きではなかったが、 コントローラーが不調だったせいか思うようにガラガラを動かせず、ようやく動かせた挙句スカというおまけ付きだった。 めくってカンカンも、ばくち要素がほとんどなかったために面白みが少ないと感じていた。

最後に、私が多く使う溜め撃ち妖気弾はホーミングで、他はよほどのことがない限り使うことはなかった。 なんといっても、『魂斗羅』のスプレッドばりのグラフィックで、周囲の敵を一網打尽しつつコインを多く回収できるあたりは感動した。

感動したといえば、最初のステージの時計塔風のエリアにおける背景を独自に動かしてチラツキをなくしていることもそうで、 多分特殊チップは導入されていないか導入しても悪魔城伝説のような高性能ではないものだが、さすがはコナミという印象を与えてくれていると思う。



本日のまとめ



こうもりに、ヘンシンできるよ〜ん!

(08/1/24レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月23日
◆目次に戻る◆


inserted by FC2 system