◆ドラキュラU 呪いの封印◆
アクションRPGにマルチエンディング



1987年8月28日   発売元:コナミ   ジャンル:アクションRPG
値段:2980円   ディスク:両面   おすすめ度:2(戦慄の夜という名の恐怖


1691年、トランシルバニア王国で伝説の悪魔ドラキュラが復活、人々を恐怖に陥れた。 これに対して、長年にわたりドラキュラ復活のたびに戦ってきたバンパイアハンターの異名を持つベルモント一族は、ドラキュラ打倒のためそのときのベルモント一族の有力者シモンでその望みを託した。

そして、ドラキュラ城での激闘の末ドラキュラを倒すことに成功し、トランシルバニアに再び平和が戻った。 しかし、代償として彼は最終決戦の際背中に大きな傷を負ってしまい、そこから来る苦しみは徐々に彼の体を蝕んでいき、 7年後には自分の死期が近いことを悟るまでに至り、結果的に彼の犠牲があってこそドラキュラを倒し封印することができたのである。

そんなある日のもやが残る朝、彼はベルモンド族が眠る天使の墓の前で、自分の生涯を振り返っていた。 そのとき、彼の後ろに一人の女性が現れこう話した、「あなたの背中の傷がいつまでたっても癒えないのは、ドラキュラが死の間際に放った呪いであり、それが体を徐々に蝕んでいる。」と。

また、「もし今もシモンが邪悪に対して、生命を賭す勇気があるならば、彼に再び力を授けるであろう。」ということも告げた。 さらに、邪悪な呪いの力が歳月を経るにしたがって次第に巨大になり、それが頂点に達したとき再びドラキュラは復活するということも…。

シモンの呪いを解く道はただ1つ、ドラキュラを自らの手で復活させてまた倒し封印すること。 ドラキュラの肉体を破壊してから、七年目の今日彼は再び復活を始めるため、彼の肉体の5つの部分が再び地上に現れる。

ドラキュラの呪いが弱い今こそ、全てのドラキュラの遺骸を見つけ出し、ドラキュラ城で焼き払い再び封印すること。 そうすれば、ドラキュラを永遠に消滅させ、またシモンの蝕まれた身体もドラキュラの呪縛を逃れることができるだろう。

彼女の助言により、意を決した英雄シモンはドラキュラとの対決に終止符を打つべく、再び新たな戦いに旅立ったのであった。 だが、シモンの前にはドラキュラの残党と思わしき怪物達が立ちふさがり、ドラキュラの完全な復活をもくろんでいる。

しかも、ドラキュラの肉体の捜索手間取ればシモンに取り付いている呪いがさらに大きくなり、最終的に死に至る。 果たしてシモンは、短い時間のうちにドラキュラを不完全ながらに復活させて倒し、忌まわしき呪いに終止符を打つことができるのだろうか…。


1986年に発売された『悪魔城ドラキュラ』の続編で、タイトルに『悪魔城』がないのは舞台がドラキュラ城以外にもあり、ドラキュラ城自体メインとなる舞台ではないのかもしれない。 前作は、コナミ初のディスクゲームとして颯爽登場しホラー基調のアクションながらも、 主要武器が鞭で聖水や十字架などのサブアイテムを駆使しながら進めていき、城に救う歴代ホラー作品の怪物を倒しながら最終的にドラキュラを倒す。

BGMは、作風にあわせつつもボス戦やエンディングにバロック調を取り入れたりと、ディスクゲームの音源を生かしての挑戦も行った。 本当に使えるサブウェポンが少なかったり、アクションの癖が強い(特にダメージを受けて吹っ飛ぶあたり)などの欠点はあったが、 敵の出現や動きといったパターンをつかめばそれほど難しくはなく、FC初のオリジナルホラーゲーム(『魔界村』はACが初出)。ということもあり多くの人気を得た。

こういうことなので、続編への期待はいやおうなく高まり、翌年の8月に続編が発売された。 しかしこの年は、ドラクエUや桃太郎伝説といったRPGが次々と登場したことで、アクションゲームに若干の陰りが見え始めた頃でもある。 このため、同じ容量ながらもこのゲーム独自のシステムを次々と導入していった。


このゲームの流れは、5つの館にあるであろうドラキュラの遺体の一部を5つ集め、ドラキュラ城でドラキュラを復活させて倒すというもの。 今作は、前作の要素にRPG要素も含んでいて、敵を倒したときに出るハート(大小やハーフのものもある)を取って経験値を獲得し、一定以上になればレベルアップをし攻撃力が上がる。 ハートは、サブウェポンで消費するほかに金の役割を果たしていて、アイテム購入の際にハートを消費することになっている。

そのサブウェポン、店で購入することが多く前作のようにろうそくを壊して手に入れることがないため、ほかのサブウェポンと複数所持できて、状況に応じて使い分けられる。 サブウェポンは、斧と懐中時計と十字架が削除され、最強を誇った聖水は一番最初に入手できる分威力が弱いものの、壁を壊して隠し部屋を見つけるために活躍する。

メガクラッシュのロザリオはイベントアイテムとなり、短剣は3種類に分けられ金の短剣は刺さったら連続してダメージが与えられるので、あまり使えなかった武器が一気に最強の地位を獲得するまでにいたり、 最強の武器と最弱の武器が入れ替わった瞬間をあらわしているようで、前作をプレイしたファンにとっては少々複雑な気持ちを受けることになりかねない。 鞭のパワーアップも、アイテム入手ではなく店で購入できる仕組みになっているので、やはりこれも違和感がついてしまう。


もう1つの特徴として昼夜の概念があり、前年発売された『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』に遅れて採用している。 ただし、スーパーモンキーと違う点はそれに時間の概念も含まれていて、約1秒に1分進む計算になっているため、24時間進むには約1440秒すなわち約24分もかかる。 スーパーモンキーは、時間の概念がなくいきなり夜や昼に変わったりしていたが、ドラキュラUでは6時から18時までを昼とし18時から翌朝6時までを夜と決めている。

ただし、夜になると敵の体力は2倍となり、昼では1発で倒せたのが夜になると2発必要になり、雑魚が一瞬で手ごわくなる。 それだけならいいが、これは街にも適用されているため、夜の状態で街に入ると店や体力を回復できる教会に入れない上に、街中に出てくるのは住人ではなくゾンビである。 なお、建物や館に入っているときは時間は経過しないので、レベルアップやハートの回収は主に館でやるのがプレイヤーの通とされている。


さらにもう1つ、このゲームの肝となる謎解きだが、その謎解きの内容はドラキュラの肉体の一部のありかやサブウェポンの性能など様々な情報を、街の人々は提供してくれる。 人々以外にも、道中や館の壁などを壊すことで出てくる書物を手に入れることで得られるが、主にドラキュラに関するものが多い。 つまるところ、『ゼルダの伝説』といったアクションRPGにおける、謎解きとレベルアップのシステムはこのゲームでも採用されている。

しかし、このゲームの評価が高いとはあまり言えず、主に前作をプレイした人を中心に否定的な意見が多くなっている。 主たるものとして、謎解きの概要が根本的に欠けてしまっいるということ。 住人の与太話や全てカタカナはともかくとして、大部分の情報が偽であるというのは謎解きの何たるかを潰していることにつながりかねない。

多くの情報を得て、その中から真実を見つけ出すというこのゲームなりの謎解きのやり方といえるのだろうが、そんな謎解きはAVGにでもやらせておけばいい。 RPG、それもアクション主体のRPGにおいて、偽情報が多すぎる謎解きはプレイヤーに好まれないことは今の世の中から見て当たり前だが、 RPGブームとなった1987年のRPGの多くの謎解きは理不尽なものが多いのでそれは仕方ないのだろうが、ドラキュラUにおける偽情報は与太話に置き換える必要があったのではないだろうか。 もしくは、ゼルダ同様に一行のメッセージでも重要なヒントを出すことも考慮すべきだっただろう。


もう1つ時間の概念だが、時間を細かく設定したのは見事とはいえ、夜となる半日の間店が使えないのはなんとも痛く、ゾンビと戦わねばならない。 このゲームのエンディングは3つに分けられ、クリアに時間がかかるとエンディングの内容が悪くなってしまうので、その間をぶらぶらと過ごすのはかなりつらい。 もちろん、経験値やハートを稼ぐという手もあるが、敵が強くなるときにそれをやるのは自殺行為ではないにしろ危険で、時間が経過しない館でやればいい。

せめて、18時から21時まで夜ながらも昼と同じように、住人と会話できたり店を利用できたりする設定を入れておくべきではなかったのだろうか。 例え街に入っても安全とはいえず、街にも川という形での落とし穴があり、そこに落ちればミスになるというあたりもこのゲームの評価を落としている。

RPGにおいて、どの場面を見渡しても安全な場所はないという考えは斬新であり、 ポーズをすれば時間をとめられる(安全がある)ことを考えれば納得いくものの、『戦慄の夜』を迎えてげんなりしたプレイヤーは多いと思われる。

今でこそ、ドラキュラシリーズにRPG要素を含んでいる作品はいくらか見かけるものの、当時はかなり奇異な上に横スクロールのアクションRPGということで、 『リンクの冒険』とかぶっている意見も見受けられるあたり、コナミの戦略は失敗といっていい。 続編の『悪魔城伝説』が、第1作と同じく通常のアクションに戻ったことがその証拠。

にもかかわらず、このゲームがドラキュラシリーズの黒歴史扱いになっていないのは、この作品のストーリーもしっかりドラキュラの歴史に組み込んでいるためで、 ストーリーだけ見れば決してクオリティは低くなく、他のゲームの人気にあやかってドラキュラに不要な要素を組み込んだばかりに、名作を駄作にしてしまった感がある。 BGMも、前作以上にバロック調を思わせるパイプオルガン風の音色を基調とし、同じ容量ながらもその質は高くなっているが、ゲーム内容が悪いあまりに注目されにくかったようだ。


ディスクゲームのほとんどは、いとこの家でプレイしていたというのは他のディスクゲームをレビューしたときに書いたが、ドラキュラUも発売当時いとこの家でプレイしていた。 しかし、前作を結構プレイしていた私にとって、RPG要素が詰まった今作はあまり面白いものではなかった。 それでも、前作を好んでいたため最初は楽しんでプレイしていたが、レビューにも書いた欠点が次々と見つかり、子供ながらもこのゲームが前作より面白くないことを知った。

それから10年近く後、いとこから数多くのディスクゲームをもらった時、久々にドラキュラUをプレイしてみようかと思い、久々にプレイしてみた。 いとこからディスクゲームをもらった当時、それ以上多くのレトロゲームをプレイしていたため、ドラキュラUが前作と内容が違っていたことに驚きはなかったが、それでも違和感をぬぐうことができなかった。 数年前に、PSの『悪魔城年代記』でX68000版とそのアレンジ版をプレイしたこともその1つで、ドラキュラは初代と同じシステムでなければならないという考えが固定していた。

さて、レビュー前に本格的にクリアを目指したが、いきなり夜でつまづいてゾンビの大群を相手にする羽目になった。 しかも、できるだけ早くクリアしなければならないこともネットの攻略サイトで知ったので、アイテムを買ったり教会で体力を回復したいというときに夜になってしまうのはなんともつらかった。 街中にいても時間が経過してしまうので、早く必要なものを買わなければとあせって川に落ちてミスをしたことがいくつかあった。

敵のほうは、謎解き重視で進めているらしく単調な動きが多く、ボス格の死神やカーミラもスクロールするだけで復活してくる上にボス戦用のBGMもないので、初代のボス達と比べて威厳ががた落ちという感じがする。 おまけに、金の短剣であっさり倒せてしまうので(死神は無理)、ラスボスのドラキュラさえ一番強いはずなのに短剣を連射すれば、真の実力を発揮する前に倒せてしまうあたり、謎解き重視だなということに納得した次第となった。

なお、このゲームのレビュー中息抜きに悪魔城伝説をプレイしたが、ベースが初代を意識したつくりなので、個人的にFC版3作のうちUが駄作に見えてしまったのは私だけではないだろう。



本日のまとめ



ソシテ センリツノ ヨルガ オトズレタ

(08/1/3レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年5月21日
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