◆ドンキーコングjr.◆
マリオ、悪(ワル)になる



(ROM版)発売日:1983年7月15日   発売元:任天堂   ジャンル:ACT
値段:3800円   おすすめ度:3.5(前作に負けない面白さ)

(Disk版:片面)発売日:1988年7月19日   発売元:任天堂
値段:500円(書き換え専用)


ゲーム内容は、前作同様敵の放った妨害をかわしつつ、ゴールまでたどり着くものなのだが、前作のような一般的なアクションではなく、 つたが多く配置されたいわゆるアスレチックの要素が前面に押し出している。 仕掛けも、前作以上にパワーアップしつつ、難易度も上昇している。

ストーリーは、前作の続きとなっており、前作以上にストーリーの幅を厚くした。 その内容は、前作でマリオに敗れたドンキーコングがそのマリオに捕らえられて南の島に運ばれるのを、息子のjrが助けに行くというもの。 つまりこの作品で、後に人気スターになるマリオは、悪役もやっているということになる。

FC版ではカットされたが、デモ画面にマリオの操縦するヘリが、檻に閉じ込められているドンキーコングを輸送し、 それを追って息子がヘリを追跡していく内容となっている。

確かに、『マリオブラザーズ』や『スーパーマリオカート』などといった対戦系のゲームでは、 (プレイヤー次第で)悪役になることもあるのだが、この作品のみはストーリー設定により完全に悪役となっている。 本来マリオがやる悪事は、GBの『スーパーマリオランド2 6つの金貨』から登場したワリオ(マリオに似た悪役キャラ)が務めることになるのだが、 ワリオ登場以前でのマリオの悪事は、マリオ本人が勤めることになっていた。


しかし『ドンキーコングjr.』以降、マリオ出演作品にマリオが悪役になる作品は皆無なため、実質的にjr.が唯一のマリオ悪役作品ということになる。 この経歴は、マリオにとって不名誉なものであるのだが、意外にも黒歴史として認識されていないのは、このゲーム自体が有名で人気があったものだと思われる。 ちなみにこの作品でマリオがやる悪事は、ドンキーコングをヘリで輸送するほかに、前作でドンキーコングがマリオに対して仕掛けた妨害と同じことを、jrに仕掛けてくる。

一方のドンキーコングは、この作品のみ味方になっている(囚われの身だが)。 そして、息子が前作のマリオの活躍を見せるのだが、父親と違ってこの作品以降の登場作品では悪事を働くことはない(父親は『ドンキーコング3』で再び悪役に転じている)。


ステージ構成数は、(AC版では)前作同様4つ。 ステージ前半は、デモムービーの続きということで南国が舞台となっているが、後半では配電室や意味不明な部屋といった機械的な場所が舞台となっている。

前作でははしごを使って昇っていたのだが、今作では1本(もしくは2本)のつたが登場している。 このつたを使った昇り降りするのだが、1本を使うか2本を使うかで昇り降りするスピードがかなり違ってくる。 1本の場合、降りるのが速い代わりに昇るのが遅くなり、2本の場合は昇るのが速くなる反面、降りるのが遅くなる。

また、前作で敵を倒すハンマーがステージ各所にに設置されていたが、今作ではフルーツがハンマー同様、ステージ各所に設置されている。 一定時間ぶんぶん振り回すハンマーとは違って、フルーツの場合は敵にめがけて落として倒すことになっている。 つまり、ハンマーのように自由に敵を倒すことが出来ない代わりに、コンボによるボーナス得点が倍増している。

そして、全ステージをクリアしたとき、ドンキーコングとマリオは落下するが、ドンキーコングは息子が受け止めたのに対しマリオはそのまま地面に激突している。 画面を見る限り、死亡している描写と見受けられるが、もし死んでいたらマリオ出演作品が出ることにならない(話が続かない)ので、一応重傷という形となっている。


FC版では、デモムービーが省かれていて画面比率がFCサイズに合わせたこと以外は、AC版とほぼ一緒であり、特に無印(同時発売なので)と違ってステージ数がそのままであることが大きい。 だが、無印と同時発売なのに、無印だけは1ステージ省かれたのに対し、jr.の方は全く省かれていなかったことについて、AC版とFC版の両作品をプレイしたゲーマーから批判があった。 同じ容量なのに、無印を容量の都合という理由で1ステージ削除した一方、jr.をそのままにしているのは納得がいかないというのがその理由であった。

しかし、このことについて任天堂は、特にコメントを発表しておらず、ユーザーに対する説明や前作の完全版も出さなかった。 こういった任天堂の態度に、ユーザーは反感を覚えたが、それでも任天堂は動かなかった。 ともあれjr.は、無印同様高い人気を受けたのだが、任天堂のユーザーに対する態度は、ツケという形で意外にも早くやってくることになる。


ところで、このゲームに登場するドンキーコングの息子だが、FC版登場の5ヶ月後に『ドンキーコングjr.の算数遊び』に登場し、2Pという形で弟(妹か?)も登場した。 それから9年後の1992年に、SFCの『スーパーマリオカート』に出演(大人に成長していた)。 ドンキーコングのGB版にも登場したが、子供に戻っているのはドンキーコング登場が『スーパーマリオブラザーズ』よりも先なため。

しかし、1994年に発売されたSFCの『スーパードンキーコング』が登場したことにより、jr.に対する扱いは一気に冷え込んでいく。 父親のドンキーコングは、クランキーコングという名前でむしろこのシリーズから大活躍していくのだが、息子に対する作中での描写はまったく書かれておらず、 逆に新しく登場したクランキーコングの孫が2代目ドンキーコングを名乗ることになる。

その2代目ドンキーコングは、N64の『マリオカート64』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』などにも出演し、マリオ同様任天堂を代表するキャラクターの1人として名を連ねていく。

もちろんjr.も、GBCの『ゲームボーイギャラリー』シリーズやN64の『マリオテニス64』にも登場しているが、なぜか子供のままであるばかりでなく、 2代目ドンキーコングと競演をしていることから完全に矛盾している状態となった。

これは、開発スタッフによる勘違いから起こったものなのだが、結果的にjr.を知らないプレイヤー世代を混乱させる一因ともなった。 というのも、任天堂のHPで初代ドンキーコングとドンキーコングjr.、2代目ドンキーコングがまとめて紹介されており、 jr.が2代目ドンキーコングの父親でありクランキーコングの息子であることが、現在ファンの間で推測と確定の狭間で動いている。

それでも、jr.の不遇は相変わらずであり、2002年にはドンキーコングシリーズの開発元であるレア社が、任天堂の元を離れてマイクロソフトの傘下になったことにより、 jr.を含めた任天堂キャラがレア社作品に登場することが不可能となった。

さらに、以降の任天堂作品において、jr.は主役キャラからはずされるという悲劇に見舞われた。 ただ、GCの『マリオカート ダブルダッシュ!!』では観客の1人という形で登場しているので、再び主役キャラの1人に復帰する可能性も残されている。


無印の方は、20年近く前から結構プレイしているのだが、jr.のほうはつい最近になってからである。 理由は、いとこからもらった十数本のゲームの中に、jr.が入っていなかったため。

その後、jr.をプレイするために地元の中古のゲームショップを見て回ったのだが、何故か無印や3よりも高くなっていたので(定価の6割の値段で売っていた)、いったんあきらめることにした。 大学生活中で、八王子に一人暮らしをしたとき、改めてjr.が安く売っているゲームショップをくまなく探したのだが、地元で売っていた値段とさして変わらず、ここでも買うことをあきらめざるをえなかった。

初めてjr.をプレイしたのは、今から2年前の2004年頃で、無印と同様インターネットでのJAVAゲームのAC版をプレイした。 既に、雑誌やネットなどでFC版を知っていた私は、AC版をプレイして無印のAC版をプレイしたときと同じ衝撃を受けた。 しかも、全くプレイしていなかったこともあって、無印以上の感動があった。


ようやく、FC版をプレイしたのは去年の12月頃で、大学を卒業して地元に戻った私は、偶然近くのゲームショップに立ち寄ったのだが、その店でjr.が定価の7割安く売っていたので即購入した。 早速FC版をプレイしたとき、今までFC版をプレイしていないこともあってか、無印以上の面白さと感動を味わうことが出来た。 マリオが、この作品で悪役になることは既に知っていたし、それ以降の作品でも色々な職業をやっているので、悪役になることはさほど新鮮には感じなかった。

購入からまもなく、このゲームについてのレビューを書いたのだが、初めてプレイして興奮したこともあってか、これもまた文体がめちゃくちゃになってしまった。 HPを作って、それほど時間が経っていないこともあったとはいえさすがに恥ずかしいので、翌年の現在に改めてレビューを書き直した。

ゲームも、そのときに再びプレイしたのだが、レビューを書き直す前にネットでの資料を読み漁った分、 以前にプレイしたときと比べて昔に入っていなかった知識を頭の中に入れたためか、別の新鮮さを味わうことが出来た。 同時に、出来うることならばjr.を再び登場してほしいものだと思っている(大人の、しかも親父の状態で)。



本日のまとめ


ドンキーコング第2部


(06/11/26修正)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月3日
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