ドラクエプレイヤーであれば、一度は聞いたことがあるであろう魔法の呪文。 ホイミ…パルプンテ…メラゾーマ…いいえ、違います。ぱふぱふ…いいえ、もっと違います。

そう、それは…「ひとしこのみ」。 自分ですら、ドラクエ5を未プレイの状態でもその存在だけは知っていました。 だが知った時点ではプレイしたことがなかったのでどれだけインパクトがありどれだけ有用であり どれだけ特異な裏技か、そこまでは分かっていませんでした。

発見者様は、「Index of /~s-endo/」 というサイトの管理人様。解析の結果、見つかった処理のようです。す、すげ〜……。 なんかもうどうなってるの?レベルですごすぎるのですが、発見者様に大きな拍手を。

実況プレイ中にその裏技を試してみたりもしましたが、 ドラクエ5の没になった敵や没アイテムを検証したのでやはりこの 「ひとしこのみ」を改めてこのサイトでも検証し、万が一知らない方がおられたときの為に 説明も兼ねたページを一つ書こうと思ったのでした。

まずは「ひとしこのみ」の概要説明。

それは「特定のアイテムを持つと、会心の一撃が出るかの確率が100%となり、 モンスターが仲間になるかの処理も100%になる」というもの。細かい仕様はありますが、 短い言葉で説明してしまうとこんな感じです。つまりはウルトラ便利な裏技です。

その特定のアイテムとは…。

主人公がアイテムを 「ひのきのぼう」「とがったホネ」「しあわせのぼうし」「こんぼう」「のこぎりがたな」「みかわしのふく」の順で所持 し、それ以外を持たない。「ひのきのぼう」は装備してもOK。

これらのアイテムの頭文字をとって「ひとしこのみ」です。 「ひとしこのみ」になりさえばいいというわけではないので、 「と」を「とんがりぼうし」にするとか、「み」を「みかがみのたて」にするとか、 そういった代用はできません。「と」は「とがったホネ」でなければダメ、「み」は「みかわしのふく」 でないといけません。

また、アイテムの順番もこの通りでないといけないので「ひとのみこし」とか「みのとしひこ」とかの 並びにしてもダメです。アイテムの種類厳守&順番厳守の「ひとしこのみ」にしましょう。

「ひとしこのみ」の効果その1。 「会心の一撃になる確率が100%になる」。 「会心の一撃になるか」の判定をする攻撃は全て会心の一撃になります。 ポケモンでいえば必ず「きゅうしょに あたった!」となるようなもんです。 まあ初代では割と見る光景です。しかしドラクエ5では全部が会心の一撃になるなど 偶然には起こらないものすごい状態です。

主人公は「ひのきのぼう」しか装備できないので棒が折れやしないか心配ですが、 主人公がバトルメンバーにおらず馬車の中に入っていても「ひとしこのみ」の効果はあるので 主人公は「ひとしこのみ」状態で馬車で待機、3人の物理攻撃が敵モンスターを襲う!という 状態にして戦うというのもアリです。

武器が棒だけ、防具は装備できないという弱点もあるといえばありますが、 やはりパーティメンバー全員が会心の一撃を連発するという方が圧倒的に強いので そこまで気にならないことでしょう。

「ひとしこのみ」の効果その2。 「モンスターが仲間になる確率が100%になる」。 これも「仲間になるか」の判定が全OK!となるというだけであり、 仲間にならないモンスターを倒したりこれ以上モンスターを仲間にできない、 つまりボックスがいっぱいのときはいかな「ひとしこのみ」状態でも モンスターは起き上がりません。

そのモンスターを既に3匹仲間にしている時も同様。とにかく「仲間になるか」の判定があった場合、 100%仲間になるという恐ろしく便利で便利すぎて恐ろしい効果があるわけです。

ちなみに一部で信じられている「必ずバトルから逃げられる」という効果もあるのかな、 と思って試してみましたがそんなことはナシでした。「ひとしこのみ」状態でも 回り込まれるときは回り込まれます。まあ「ひとしこのみ」状態でバトルをしていたら 主人公のレベルが上がり、割とバトルからは逃げられるようになっているかもしれないので ある意味そういうことではあります。

さて、気になるのがさっきから連呼している裏技の通称「ひとしこのみ」。 なんとなく意味のありそうな文字列であることは、偶然ではないでしょう。 …というか、後から知ったことですが「ひとし」と「このみ」という名前が ドラクエ5には存在しているらしい。

それがこちらの「スライムベホマズン」。 仲間になるモンスターには名前を好きにつけることはできず自動で名付けられており、 スライムベホマズンは仲間になると「ベホズン」という名前がついています。

そして同じモンスターが再度仲間になる確率は下がりますが、2匹目には「ベッポ」、 3匹目には「さだきち」という名前が勝手につきます。

そして4匹目のスライムベホマズンの名前は…「ひとし」。 1匹目の名前はまあまあ元のモンスターの名前をもじったものが多く (スライムはスラリン、シュプリンガーはリンガー、ギガンテスはギーガ…などなど)、 2匹目はちょっとカッコイイ系の名前が多いだろうか…とりあえずカタカナの名前がほとんどです。 3匹目は仲間になる確率がかなり低くなるためか、急にひらがなの名前、しかも 日本人の名前やニックネームになりそうなものが多くなります。

そして4匹目はさらにプレイヤーの目に入ることは少なくなりますが (なんたって同種モンスターが既に3匹が仲間として存在していたら4匹目は絶対に仲間にならない)、 まあまあコミカルな名前や、やはり日本人の名前っぽいものが多いように思えます。

そんな中、スライムベホマズンの4匹目の名前は「ひとし」。 さらに、ドラクエ5の製作スタッフのお一人、プログラマさんのお名前は「大堀仁司」さん。 エンディングのスタッフロールにも「HITOSHI OHORI」という表記でお名前が確認できます。

この「ひとしこのみ」の便利な二つの効果、これは「偶然の産物」ではないだろう。 製作者様の思わぬ挙動でもない、明らかに「組み込まれたもの」でしょう。 (発見されてしまうというのは「思わぬ」だったかもしれないが…)

こういうのを組み込むのはやはりプログラマさん。今まで、そういうゲームをちらほら見てきました。 「ポケモンでパネポン」とか、 「魔界島」とか…。 多分、「マリオペイント」も同じ類のものだと思います。

検証してみて思ったのは、これはデバッグ用のプログラムなんだろうなということ。 「しのオルゴール」のように全滅させる系ではなく、今の主人公たちの力で モンスターを攻撃し、倒すという行動を効率よくするには会心の一撃にするという処理を お作りになるのはとても納得です。自動バイキルトとか攻撃力を固定にするとかよりも、 デバッグ作業のためにはよさそうです。

もう一つのモンスターが必ず仲間になる処理も、色んなモンスターが存在していて プレイヤーによって倒す方法や順番が違って、その中でモンスターが仲間になるとしたら 必ず仲間になる=仲間になるかどうかの処理が起きているかがわかるというのは 開発においてとても有用だと思います。

そしてあまりにも複雑で偶然に起こることはないシチュエーションでしか 発動しないため、放置されるというのも納得です。消し忘れではなく、 そのままあえて残されているんだろうなという感じがします。あくまで、検証してみたことによる個人の感想です。

さて「ひとし」の片割れである「このみ」ですが、 それもまた4匹目の仲間モンスターの名前で「ミニデーモン」に設定されています。

スタッフロールで「このみ」が付く名前の人は確認できませんでした。 人名なら女性か、もしくは苗字か、という気がしますがミニデーモンの1匹目が「ミニモン」、 2匹目が「ルシファ」、3匹目が「りかち」だということを考えると 「このみ」は苗字ではなく名前なんじゃないかなという気がします。

そしてやはり全ては個人の感想ですが、これは女性スタッフ様の名前…ではなく、 プログラマの大堀さんに何か関係がある、もしくは思い入れのある名前でミニデーモンの 4匹目の名前を大堀さんが決め、デバッグ用コマンドに「このみ」、そして自分の名前である スライムベホマズンの名前「ひとし」を使用したんじゃないかという気がします。

ドラクエ5にはアイテムが大量に存在しています。 そんな中、「ひとし」と「このみ」をデバッグコマンドに使うことにし、 その頭文字のアイテムをピックアップしていった結果「ひのきのぼう」、「とがったホネ」、 「しあわせのぼうし」、「こんぼう」、「のこぎりがたな」、「みかわしのふく」という チョイスになったんじゃないだろうか。じゃないとそれらのアイテムに関連性がなさすぎる。

アイテムに共通点がないとしたら、逆に共通点は「ひとしこのみ」を満たす、という方となります。 これらのアイテムは「ひとしこのみ」ありきで選ばれたものだからこそ関連性がないと考えられるでしょう。 個人の感想です。

あくまで個人の感想ですがスラムベホマズンの名前「ひとし」とミニデーモンの名前「このみ」は 偶然ではなく、「ひとしこのみ」の裏技に関係していると思います。データを眺めた結果、 「ひとしこのみ」を発動させた結果、必要なアイテムを集めた結果、そのように感じました。

ちなみに「ひのきのぼう」は00、「とがったホネ」は0A、「しあわせのぼうし」は91、 「こんぼう」は02、「のこぎりがたな」は3C、「みかわしのふく」は64と 連番ではないどころか昇順ですらありません。これも「ひとしこのみ」という前提があるからでしょう。

…以上、有名すぎるので改めて話すようなことはなかった 「ひとしこのみ」についてでした。言いたかったのは「ひとしこのみ」は偶然発生したバグではなく、 「ひとしこのみ」の名前には由来があり、「ひとしこのみ」中にアイテムを入手すると 「ひとしこのみ」状態が解除されてピンチになるから気をつけましょうということです。 最後の1つは言ってないんじゃないか?

そして何より、発見者様はマジでスゲエということです。敬礼。

最後に、この裏技はあまりに便利すぎるので、ご利用は計画的に。 ひとしきりプレイした後に無双するもよし、ダメージ限界に挑戦するもよし、さらなる高みを目指すもよしです。

この世界で最も強い武器は、どんなに硬い敵に会心の一撃で殴りつけても砕けない、 何度渾身の力を込めて振り下ろしても折れない、主人公が持つ「ひのきのぼう」だったのです…。

2022年1月6日


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