SHIDU NOTE -シヅノート-

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シヅノートの15ページ目。文字数ハンパない。この勢いで白蛇シリーズを書きなさいよ。ねえ…。



リュークとレムに「自分の寿命を延ばすために人間の名前を書くとき、ぼくと同じような裁きをしてほしい」と頼み、 それが死神界にいる無気力な死神たちにも少しずつ広まってほしいと願ったシヅキラ。

リュークには、死神の行動によって変化する人間界を見ることを「面白いこと」としてほしいと頼み、 選りすぐりのリンゴの苗をお土産に渡し、ミサちゃんが持っていてぼくが預かっていた死神ジェラスのノートを燃やす… と同じくして、土の中に埋めた最初のデスノートの所有権を放棄。

ぼくとミサちゃんは同時にデスノートに関する記憶を失い、リュークとレムのことが見えなくなりました。 二人でお花見に来たのは確かなので、地図を見て自分たちの位置を確認して公園に戻り、ミサちゃんを送ってから帰路につく。

夕ご飯の買い物を途中でしてから、帰宅。鶏肉が安かったので、親子丼にでもしましょうか。

それにしても、今日のアレはなんだったんだろう。確かに公園に行ったけど、あんな場所にミサちゃんと二人で 入っていくなんて、どんな理由があったというのか。他に人の気配は無かったから、誰かについていったわけでもなさそう。

それに、誰かが火をつけたわけでもないのに何かが燃えているなんて、あまりにもおかしい。 あの燃えていた紙を、燃え尽きてからもっとよく見るべきだっただろうか。周囲は草がまばらで、 燃えていた部分は土の上だったからそのまま燃え広がって…なんてことはないだろうが…。

何よりも、意思を持って飛んでいったように見えたあの黒い紙…やはり、ノートに見えた。アレはなんだ。 風が吹いていなかったわけではないが、飛ばされていくほどの強さではなかった。 ミサちゃんに尋ねても分からないって言ってた、そりゃぼくも分からんし分からんよな…。

…おかしい。そもそも、あの場所に行った記憶が無いことがおかしい。 ミサちゃんとぼくしかあの場にはいなかったのに、自分たちの足で行ったのは確かなのに、 何があったのか分析していること自体がもうおかしい。

こういうときは、思い出す作業をする。思い出せるところまで思い出し、そこから 確かに覚えているものだけを選択し、思い出したいものへ確実に近づいていく。 かなり集中しないといけないが、静かな部屋で、目を閉じて、集中して思い出せば思い出せるはず。

今までもこうやって、本気で思い出さなければならないものは見つけてきた。 自分だけで動かしたもので、この方法で見つからなかったものはない。

だが…やはり、だめだ。どれだけ思い出そうとしても、思い出せない箇所がある。その先の光景が急に薄れた後、空白になる。 今までこんなことは無かった。これほどまでに集中しても思い出せないなんて、頭でも打ったんか…?

ミサちゃんと会うための約束のやり取りは…残ってない。そりゃそうか、メールじゃないもんな…にしても、 ミサちゃんとのやり取りをそもそもどうしてあんなアプリでしてるんだ。ミサちゃんは芸能人だし、 記録が残るとまずいからとかそういう理由だっけな…?

あ、メールが来ている。ぼくが使っているメールアドレスは複数あるが、このアドレスは最も大切な連絡が来るもの。 ちなみに頂き物イラストや、Fantiaのファンクラブに入ってくれた人の通知はこのメールアドレスに来ます。

捨てアド扱いしていないため、迷惑メールが最も来ないアドレスでもあります。 そこへ、1通のメールが。送り主は…自分の、別のメールアドレス。届いたのは5分前。 送ってないぞ。アカウントが乗っ取られているんだろうか。添付ファイルは無い、件名は…「おしらすぼし」。んだこれ。

ぼくしか「おしらすぼし」なんて言葉は使わないが、これまたこんなメールを送った記憶も、下書きとして作成した記憶もない。 恐ろしいが、メールを開くだけでウィルス感染の可能性もなくはないが…これは、なにかある。開いてみよう。

「このメールは、送信時間を21時00分に予約して送りました。このメールを書いたのも、 送ったのも、間違いなく、あなたであり、ぼくです。詩衣雫月、あなたであり、ぼくです。 あなたは覚えていないでしょうが、忘れてしまうからこそ、あなたに送りました。」

なんだこれ。こんなのを書いた記憶はない。でも、ぼくが書きそうな文体だ。 ぼくが書いたことを装っているのか?アカウントをのっとってまで?何がしたいんだこの人物は…。

「ぼくは、ぼくに向けて手紙を書きました。それを読んでください。 それを書いた記憶も、しまった記憶もないでしょうが、だからこそぼくはあなたにそれを知らせます。 引き出しの最下段、使っていないノートや昔作ったMOTHER2のボードゲームのカードが入った箱の下に、手紙が入っています。」

…手紙?このメールの送り主の言う通り、もちろんそんなのを書いた記憶もないし、しまった覚えだってない。 MOTHER2のボードゲームを作ったことはあるが、誰かが部屋に侵入して引き出しを開けてそれを見たってことか? そしてこんなメールを送り付けてきたのか?怖すぎるんだが…。

「いま、いろんな疑惑が頭をよぎっていると思うけど、大丈夫です、部屋に 誰かに侵入されたわけではありません。あなたが作ったボードゲームの名前は 「メロディ集めて8つになあれ!」ですね?誰にも言ったことがないはずの、どこにも書いたこともないはずの、 このタイトルを知っているのは、ぼくがあなただからです。」

げ。なぜそれを。ボードゲーム自体にはそのタイトルは書いてない、どこにも書いてないし ちょっとはずかしいから一度も口に出したこともない。

それを知っているということは、もしや本当に………。

「引き出しの最下段の箱の下を見てください。そして、そのあとに このメールを削除し、削除済みフォルダからも削除し、このメールを送ったアカウントに移動し、 予約投稿した送信済みメールのデータも削除し、下書きも残っていないか確認してください。

詩衣雫月」


な、なんだなんだ一方的に。本当に引き出しに手紙が入っているのか?入ってたら怖すぎる。 そもそも、この引き出しは全く開けない。最上段はゲームやアクセサリが入っているし、中段は電池や色鉛筆が入っているから 開けることはあったが、最下段は使っていないノートや古い貯金箱、あとは卒業証書とか記念品(メダルとか万年筆とか)が 入っているだけで全く用が無いのである。

しかも大きいから重いんだよな…よいしょ。いろいろ入っている箱を取り出し…その前に中身を全部取り出さないと無理だな。 全部出して…箱を取り出そう。箱が入っていた場所、引き出しの底に、なんか半分に折られた紙が置いてある。怖ええええぇーッ!!

こ、これは、一生使うことなさそうと思っていたハローキティの便せん…な、な、な、何が書いてあるというのだ…。

「ぼくが書いたメールの内容を信じて、この手紙を取り出してくれてありがとう。 ぼくは、あなたです。」

なにこれなにこれなにこれ…怖い怖い怖い…。

「この手紙には、非常に大切で、誰にも知られてはいけないことが書かれています。 部屋にいる時は大抵一人だろうけど、この手紙は絶対に誰にも見せないでください。大丈夫ですか?」

大丈夫…ぼくの部屋には、誰も勝手に入りませんので…。にしてもこの下手な字、ぼくの字にそっくりだな…。

「まず、あなたにとっては衝撃的なことを告げないといけません」

なんじゃなんじゃ…ぼくって無意識に動いたりする病気でもあったのか…夢遊病でこんなの書いたのか…。

「最近、世間を騒がしている事件がありますね。通称「キラ事件」です」

まあ、そりゃ知ってる…犯罪者が死ぬたびにテレビ番組でも取り上げられるし キラからのメッセージがテレビで流れたこともあったし、キラの人物像とか次のターゲットとか 予測されたりもしてる。

考察を読んだこともあるし特集番組を見ることもあるけど、 犯罪者だけが「裁かれている」なら、ぼくには関係ないとしか思ってないです。

「日本警察、そして天才探偵「L」が追っている…」

はあ……。

「あなたがキラです。」

はあ?!何を言ってるんだコイツ!?

「にわかに信じがたいとは思いますが、ぼくがキラで、あなたがキラです。」

え、え、え、いよいよヤバいぞこの人!そういうスパムメール!?いや、これは手紙だけど! 不幸の手紙的な?!

「それを信じてもらうためには、まずキラがどのようにして犯罪者を 裁いていたのかを説明しなければいけません」

危ないかな、こういうの読むのは…やめておこうかな…。

「ぼくは、「名前を書かれた人物が死ぬ」という効力を持つノートを拾いました」

…ん?ノート…?

「それは表紙も背表紙も真っ黒の、見た目はごく普通のノートでした」

黒い、ノート…。

「報道される犯罪者、更生していない過去の凶悪犯など、基準を設けて 該当する人物の名前を書き、犯罪者を裁き、新たに犯罪が起こることを抑制しようとしました」

……。

「ぼくはキラと呼ばれるようになり、そのキラを名探偵「L」が 必ず逮捕する、とテレビ番組で宣言をしました」

…まあ、そのテレビ番組は見たけど…あの映ってた人って、Lじゃなかったんだよね。 そういう考察、ちょっと前に読んだけど…。

なんでそんなの検索したんだろう…。

「忘れているだろうからあえて「覚えていますか」とは尋ねませんが、 弥海砂ちゃんとの出会いを、あなたは覚えていないことでしょう。」

…いや、覚えてるぞ。ミサちゃんがぼくの忘れ物を届けに家に来てくれたのが最初だ。確か結構夜遅い時間だった… …でも、どうしてぼくの忘れ物を人気モデルであるミサちゃんが……それ以前に、接点と呼べるものは……。

「弥海砂ちゃんは、「第二のキラ」とも呼べる、もう一人のデスノートの所有者でした」

第二のキラ?!だいにのきら?!ミサちゃんが!?おおよそキラと無関係そうなミサちゃんが…?!

「さくらテレビに、キラに会うためにビデオメッセージを送っていたのは彼女です」

確かにその番組の映像を見たことはあるが、また荒唐無稽な… ミサちゃんを陥れようとしているのかコイツは…?目的はそっちか?

「あなたは彼女と会い、彼女が第二のキラであると絶対に疑われることがないように 何度も話し合い、策を講じました」

最近、よくミサちゃんの家でお茶することがあったが、話した内容はそういえばあまり思い出せない… まさか、証拠隠滅のためだった…のか…?彼女は家族を強盗に殺されたとか、その犯人をキラが裁いてくれたから キラに感謝しているとは言っていたが…。

「ですが、キラを追うのは正体不明の天才探偵。先日、警察が我が家や海砂ちゃんの家に来たのは、 二人がキラとして疑われていたためです」

そうだったの!?いったいなんの間違いなのかと思ったけど、キラ事件の容疑者としてだったの!? ぼくが警察のご厄介に!?何も押収されなかったし、怪しまれている様子もなかったと思うけど…。

「そして、部屋を捜索されても何も証拠が出なかったのは、あなたが考えうる最も自然で 安全な方法でノートを隠していたからです」

へえ…ぼくが考えうる方法って何だろう。誰かに預けることは絶対にしないだろうから、コインロッカー… いや、防犯カメラや料金を気にして、地面に埋める、かなあ…。

「先に話してこれ以降は読む価値が無いと思われてはいけないので後回しにしていましたが、 ノートともう一つの存在について説明をします」

今度は何だ…。

「ノートの正式名は「デスノート」。顔を思い浮かべながら名前を書けば、その名の人物が 40秒後に心臓麻痺で死亡します」

キラが裁いた人間は必ず心臓麻痺で死亡しているっていう話だけど…デスノートって、また物騒な名前だな…。

「死亡日時や無理のない範囲であれば死因や死亡前の行動も指定できますが、犯罪の抑制の為に デスノートを使うので死因を統一するためにあまり例外は作りませんでした」

ふーん…そんなノートがあれば、使いようによってはすごいことになりそう…。

「そんな非現実的な力を持つノートは、 元は「死神」が殺した相手の残りの寿命をもらうために使われているものでした」

……しにがみ??

「デスノートを所有している人間には常に死神が憑きます。その死神はノートを触った人 以外には見えないし、声も聞こえません。壁などの障害物もすり抜けられます」

急に、さらにおかしなことを言いだしたぞ…。

「あなたには「リューク」という死神が、海砂ちゃんには「レム」という死神が憑いていました」

リュークと、レム…。

「リュークは明るい性格の死神で、死神界が退屈で面白いものを見たかったから 人間界にノートを落としたそうです。テレビ番組やゲーム、そしてリンゴが好きでした」

リンゴ…。

そういえば、今日もリンゴを買ってきた。以前はそんなことなかったが、最近よくリンゴを夕食後に食べている。 別に元から嫌いじゃなかったけど、なぜ急にリンゴばかり食べ始めたんだろう。他にも好きなフルーツはたくさんあるのに…。

「レムは賢くて冷静な性格で、海砂ちゃんの保護者的存在でした」

確かにミサちゃんは見守ってあげたくなるというのは、わかる。死神すらもそう思うってことか?

「海砂ちゃんはキラを探すため、残りの寿命が半分になる代わりに 人間の本名が顔を見ただけで分かる「死神の目」というものをレムからもらう契約をしました」

寿命が半分?!ミサちゃんの!?キラを探すためだけに、そんなことを!?マジだとしたら、なんてことだよ…。 信じられないというか…信じたくない。ミサちゃんが…。



予約送信されていたという全く身に覚えのないメール、自分にあてて書かれている 全く身に覚えのない手紙。複数枚の便せんを使っていて…非常に長いので次のページに続くらしい。 あまりにスクロールバーが小さくなるのは、あまりにスクロールが必要になるのは、不都合があるらしい。

なんの話だ。それはサイトの事情じゃないのか。

2024年04月06日


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