SHIDU NOTE -シヅノート-

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シヅノートも13ページ目です。思えば遠くへ来たものだ。割と家にいたけど。 あくまでこの話のキラはシヅキなので、キラであること以外は普段のぼくと何も変わりません。 職場と家の往復と、あとは連れて行ってもらう提案時の外出、それだけの生活です。

だが弥海砂もとい第二のキラの出現により一気に行動を求められ、青山にまで赴くという 特大イレギュラー外出をかましたシヅキラ。しかもリュークと遊ぶためにスマホを「ちゃんと使える状態」にしているため そこからLに容疑者の中の一人に絞り込まれてしまって大ピンチ。

タッチの差でデスノートを安全な場所に隠してきたので家宅捜索でキラとしての証拠が出ることはなかったが、 全く疑われないように立ち回ってきたつもりでもやはり天才探偵相手では凡人以下のシヅキラは分が悪すぎた。

数度に及ぶミサちゃんとの密会によりミサちゃんの家からも第二のキラとしての証拠が出ないように 指示を出してきましたが、本家デスノートと違ってLはFBIを殺されていないので各国の警察からの 協力を得られている状態でありシヅキラにとってはまさに、いんがおうほう、しめんそか。

どこから一気にキラ容疑で逮捕されるか分かったものではありません。

だが、勝手にキラ活動に終止符を打ち、幕を引くことはできない。リュークとレム、そしてミサちゃんの意思を 尋ねなければいけません。リュークにデスノートの所有権を放棄すると告げるだけでは 何も解決しないところまで、シヅキラは行動をしてきてしまっているのです。

ネットで捜索された人たちの発信をチェック。「なんか今日警察来たんだけど」と言っている人物はちらほら、 そんなことがあれば「なぜなのか」と思う人たちが出てくるのは必然。考察を拝見します。

あれから(リンド・L・テイラー放送から)音沙汰ないけど、これはLが指示をして警察を動かしているに 違いない、という真っ当な意見が多い。(放送でLは「私は 全世界の警察を動かせる唯一の人間」と自己紹介し、キラを捕まえる宣言をしたので Lがキラを追っており、警察を動かせるということは全国民の知るところ)

となると、Lは何を判断材料にして警察に指示を出しているのかというところへ推理が及ぶ。 ミサちゃんのルーズリーフによる日記もテレビで放送されたので、これまた世間のみんなも内容は知っている。

…あ、そういえば。もう今更だから訂正もできないんだけど、「キラを見つけることができました」っていう メッセージビデオはよく考えたらLは本家デスノートでは放送させてないかもな、と思いました。 ライトくんがそのメッセージビデオを見たのは捜査本部でのこと。

L側が「キラを見つけました」を放送するメリットはなく、また第二のキラもそれを指示していなかった可能性がある (テレビ局と警察に対するお礼で放送予定がなかったかもしれない)が、もう直せないのでシヅノートでは 放送された、そのあとミサちゃんがシヅキ家にやってきた、という流れになってます。

というわけで世間も「キラを見つけました」の放送を見ているのでそれもまた判断材料になる。 そして家宅捜索されている人たちは5月22日に青山に行った人に限られている…とまで、 考えている人もいる。じゃあこの捜索でいよいよキラが捕まるのか、該当者多数だからそこまで絞れないんじゃ、 と議論をしておられる。

まあまあ当たってる。

…が、キラにしか分からないこと、キラしか知らないことがあるという点ではLに対してキラはまだまだ有利だ。 「死神・ノート・目」の3つの単語はミサちゃんがL側に伝えてしまったが、それらが具体的になんなのかは 知る由もないだろう。このまま知ることなくいてもらわなければならない。

ミサちゃんから連絡がきた。「家に警察が来た」って。ひいい。 ビデオメッセージを送るのに使ったものはすべて処分してもらった、彼女の家にはデスノートはないから レムを見られる危険もないし証拠もない。大丈夫大丈夫大丈夫…。

でも、ミサちゃんの家から何か感づかれた可能性はなくはない。Lが警察にここを見ておくように、と キラをさらに絞り込むためのポイントなんて凡人以下には全く想像がつかない。 あるいは、今回の捜索でぼくもミサちゃんもさらに怪しまれたかもしれない。

やはり「キラについてどう感じておられますか」と尋ねられたらしい。 ミサちゃんには「キラについて自発的に発言しないで、キラを肯定しすぎないで」と頼んでおいてたが、 ミサちゃんは「キラには感謝していますがそれだけです、今は仕事に専念したいので」と返答してくれたらしい。

警察が来た=Lによる捜査であり、ある程度自分の過去が調べられていると考えて不自然ではない 「感謝している」という言葉で肯定し、それ以外のことはしていないというアピールをちゃんとしたとのこと。 あれ、実は頭いいね…?意外とできる子なのね…?

だがLが何を思って捜査しているのかはやはり想像するしかないし、想像もつかないだろう。 ミサちゃんと会って、話し合おう。

とゆーわけで、ミサちゃんの予定に合わせた日時でぼくの仕事帰りの時間にミサちゃんの家へ。 捜査が進めば見張りがつくとか盗聴器や監視カメラが登場してしまうかもしれないが、 今はまだキラ容疑者は多数の状態、ぼくやミサちゃんにだけ絞り込んでそんなことはしないだろう。

一応お隣さんには聞こえない声量で話すことを心がける。シヅキラの声はデカいので気を付ける。

さて…シヅキラは、これ以上捜査が進むと危険だと判断し、キラとしての活動を終えようと考えています。 デスノートの所有権を放棄し、リュークやレムが見えなくなり、死神の存在を忘れ、 デスノートに関わる全ての記憶を失うということです。

シヅキラは基準を設けて裁きを行ってきた。ライトくんほどの数ではない(なんたって外国語が分からない)が、 それでもキラという者の存在は日本中に知れ渡っているし、犯罪率は大幅に減少しています。 キラの裁きは、確かに犯罪の抑制となっています。

シヅキラがデスノートを棄てた場合、キラの裁きも止まり、世間はキラがいなくなったと考え、 犯罪率は徐々に上がり出すだろう。その犯罪に対してまた少しでも裁きがあれば「やはりキラはいる」となり、抑制となる。 それが繰り返されれば、裁きの頻度はさておいても「キラはいる」という認識は持たれ続ける。

「キラはいる」と思われる状態にし続ける方法は、凡人以下なりに考えた。 自分もミサちゃんもLに疑われないよう、キラに対する情報をLに与えないようにする手段も兼ねる。 …だが、それを実行に移すにはいくつか確認しておかなければならないことがあるのである。

まず、レムに尋ねる。「死神界は、今は不毛で退屈な場所だが昔は違ったんだよね?」と。 リュークもレムも「今の」という言葉をつけて「死神界は」という話をよくしていた。 レムは「まだ人間界の生と死に深く関わろうとしていた大昔の死神にはたまに死者が出た」 ということも教えてくれていた。

「今は無気力な死神が多いが、昔からそうだったわけではない」とレムは言ってくれた。

次にリュークに尋ねる。「人間界のリンゴがリュークは大好きだけど、死神界にもリンゴはあるんだよね」と。 本家デスノートではリュークは死神界で食べていたリンゴを人間界に持ち込み、ミサちゃんに食べさせていた。 その見た目は間違いなくリンゴであり、リュークもそれをリンゴと呼んでいた。

「乾いた場所に乾いたリンゴの実をつける木がある」とリュークは言ってくれた。 おいしくないにしても、枯れていない、実がなるリンゴの木はある。そうだよね。

最後にミサちゃんに尋ねる。「ミサちゃんは、ぼくがデスノートの所有権を棄てる際に一緒にそれをしてくれるか」、 そして「デスノートの記憶が無くなり、キラでなくなったぼくでも、今まで通り会いたいか」と。

ミサちゃんは、キラであるぼくに会うという、その目的を果たすためだけに死神の目の取引をして 寿命を半分に減らしてしまった。レムから「死神(ジェラス)の命が助けられた娘(ミサ)に 見合った寿命として与えられた」と教えてもらってはいるが、具体的に何年かは分からない。 「見合った寿命」だから、さすがに300年とか1000年とかではないだろう。

つまり、死神の目の取引をした時点で人間として無理のない寿命、その残りの半分になっているのだから 80ぐらい+αを2で割った数に…。

そんな、命をすり減らしてまで手にした能力である死神の目も、使い方によっては自分に大きな利益をもたらすことが できるデスノートも、手放すことになる。ミサちゃんにとってそれは本意なのか。惜しくはないのだろうか。 ぼくにノートを預けてくれているが、返してほしいと言われたらそれはそうしないわけにはいかない…。

ミサちゃんはぼくの質問の真意までは分からないにしても「あなたがそうしたいと思っているなら従う」と言ってくれた。 ぼくがキラでなくなるとしたらミサちゃんの感謝と共感に値しない存在になる。 それでも、ぼくに従ってくれるのか。もちろんミサちゃんがデスノートを持たないことを選んでくれることが 一番安全であり、ありがたい話ではあるのだが…。

そして後半の質問に対しては「今まで通り会いたい、まずはお友達から」という返答をくれた。 レムも「(シヅキに対する)その感情だけは残る」と教えてくれた。 今はぼくに対してはキラであるというフィルタがかかっているが、それがなくなったとき…好意を持ったままでいてくれるだろうか。

ミサちゃんの家族を殺した者をキラは裁いた、そのことによってミサちゃんは喜んでくれた。 だがそれが高じ、デスノートをレムから受け取ったのちにキラに会うために死神の目の取引をしてしまった。 その二つはどちらかだけが起きるということは無かったこと。どちらかがあればどちらもあり、 どちらかが無ければどちらもなかった。これは仕方のないこと。

シヅキラはそれを背負う責務がある。ミサちゃんがこれからもぼくに関わってくれるのならば、 償っていくこともできるだろう。今まで通り会いたいと言ってくれてよかった。

「ミサちゃんのことはこれからも見守るし、ミサちゃんには必要ないかもしれないけど精神的に、心の支えになりたいし、 元気と幸せを分けたいと思ってる」とちゃんと宣言する。これがミサちゃんに対してできる最大限の贖罪。 ミサちゃんはそれを肯定してくれました。

あとは…一応、尋ねておく。リュークとレムに「デスノートを燃やした場合、何か罰ってある? 死神の掟に反することになって、リュークたちに何か起きたりしない?」と。

だが、死神は人間界に落ちたノートの行く末を見守る義務があるだけなので、ノートが燃えて使えなくなったら その時点で人間界にノートが存在しないことになって死神界に帰るだけ、燃えたノートの所有者は 所有権を放棄したときのようにノートに関する記憶が消える、と二人は教えてくれました。

「所有権を放棄し、死神にノートを返す」ことと、「ノートを燃やして処分する」ことは ノートが存在するか否か以外に特に違いはない、と…。はい。

確認したかったことは、全て尋ねることができました。まだ要件はあるのだが、それはもう 確認の有無でどうなるものでもないので、今日はそのことを話題にすることはやめておいた。

さあ、帰ろう。買い物をして、リンゴも買って、リュークと話しながら帰宅です。 新しく報道された犯罪者、そして国際ニュースも見て、確実に、これは間違いなく裁きの基準を 満たしていると判断できた者は裁く。過去の犯罪者で、基準を満たす者も。

次にミサちゃんと会うため、予定を合わせないと。そして、その日までにやっておくことがあるのでしっかり準備をします。

取り出したのは、引き出しに入りっぱなしでこのままでは永遠に使いそうもないハローキティの便せん。 今のぼくはデスノートに文字を書くとき以外はペンを使いません。紙に何かを書くということはしておらず、 お絵描きはペンタブオンリーです。

だけど、便せんに向かって手紙を書きます。リュークに何書いてんだ?と覗かれ、ちょっと読まれ、 「なるほどな」とちょっと察された。しっかりと練った文章であることよりも大事なことがある。 そこを気をつけながら、まあまあびっしりと書いていきます。

手紙は封筒に入れず、半分に折って、デスノートと一緒に収納。

今日はリンゴをウサギの形に切ることにチャレンジし、それをあげたらリュークはめちゃめちゃ喜んでくれた。 もっといろいろやってあげるべきだったか…明日は他の飾り切りに挑戦してみるかな…。

2024年04月04日


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