「あ、なぜか先輩と二人っきりでエレベーターに閉じ込められました」 「はああぁっ?!な、何でだよ?!」 「疑問を抱く前に、まず状況を把握するべきですよ」 「何でお前とエレベーターに乗るんだよ!何だよこのシチュエーションはー!」 「だから状況を把握してくださいってば」 「無理矢理すぎるだろ!まるでエrっ・・・ゲームのイベントじゃねえかよ!」 「今エロゲーって言おうとしたでしょ」 「うるせえええー!!」 「にしても困りましたね、どうします?」 「・・・ここ、どこのエレベーター?」 「デパートとかじゃないですか?」 「それなら他にも使う人がいるから故障に気づいてすぐに助けが来るだろ」 「もう使われてないデパートとか」 「なんでそんな店に来るんだよ。」 「あ、そういや真っ暗ですよね」 「そうだな、辛うじて非常灯があるけど」 「ってことは停電ですかね〜。だとしたら店中きっとパニックですよ」 「だろうな」 「先輩も酷いことしますね・・・」 「何で俺のせいなんだよ。」 「ってか非常ボタンとか押せばいいだろ!」 「いつ気づくかなあって思ってたんですけど」 「言えばいいだろうが!押すからな!」 「はいはいどうぞー」 「あ、すみません、エレベーターに閉じ込・・・」 「イワシとアジをお願いします」 「寿司を頼むな!」 「すみません、ついこういうスピーカーを見ると衝動的に」 「余計なことすんな!ってか通信切れただろうが!!」 「あーあ、孤立無援ですねー」 「・・・どうすんだよもう・・・」 「携帯電話があるでしょ?」 「あ」 「ついに気づかなかったんで言ってあげましたよっ」 「普通に言えよ!!」 「・・・・・・」 「どうしました?」 「電波が悪いみたい」 「本当ですか?ぼくのは平気ですけど」 「じゃあお前が電話かけろよ」 「あ、今まさに電池が切れました」 「何でだよ!充電しとけよ!!」 「あー、立ってるの疲れてきましたね・・・ちょっと座りましょうか」 「こんな床にかよ・・・」 「じゃ、先輩のハンカチとか服とか下に敷いてください」 「そこは自分のを出すところだろ。」 「仕方ないですね、よいしょっと」 「あれ、2メートルぐらいのあのでかいハンカチは?」(第一回目で出てきた代物) 「何ですかそれ。起きてるときぐらい夢を見るのはやめてくださいよ」 「いちいちお前は・・・!」 「・・・俺が座るところは?」 「先輩には椅子をどうぞ」 「え、椅子?!こんなところで?」 「空気椅子という椅子をどうぞ」 「やっぱお前大嫌いだ・・・」 「なーんちゃって、ほら、こっち座ってください」 「・・・そりゃどうも」 「でも、このまま助けが来なかったらどうしましょうねー」 「それはないだろ・・・こんなところで死にたくねえよ」 「ですよね、先輩の横でなんて縁起でもn・・・なんでもないです」 「今ほとんど言ったよな。」 「あ!大事なこと忘れてました!」 「な、何だよ」 「オキシライド博士から発明品を預かってたんでした!」 「デパートにまで持ってきたのか!?」 「はいこちら、ゴーゴーモールくんです」 「ごーごー・・・もーる?何これ?人形?」 「何の人形に見えますか?」 「・・・犬?」 「いい眼科をご紹介しますよ」 「遠まわしに言うなよ!」 「これはモグラですよモグラ。」 「・・・ああ、言われて見ればそうかも・・・これの効果は?」 「モグラなんだからやることは一つですよ。」 「分かった。使うな。」 「このまま助けが来なくて、二人とも餓死してもいいんですか!?」 「い、いや、それは困るけど・・・それはないだろ・・・?」 「千秋君と椎那君、エレベータの中で共食いして死んでたんだって〜。とか、後々友達に語り継がれますよ。最悪じゃないですか」 「最悪だけどだからそれはないだろ。」 「ではっ!ゴーゴーモールくん発動!!」 「ま、待てよ!!」 「おおお。順調に下に掘り進んでいってくれてますね。エレベーターの床なんてお構いなしの強度ですよほらほら」 「・・・ああ、弁償代とかどうするんだよもう・・・」 「これで脱出できたら安いものじゃないですか!」 「っていうかさ、何で下に掘り進んでんの?」 「何で?」 「俺が訊いてるんだよ。ドアを壊せばいいだろうが!!」 「いつ気づくかなあって思ってたんですけど」 「もうお前は何もするなー!!」 「モールくんの爪が何かに当たりましたよ!もしかしたら、出口の壁じゃないですか!?」 「出口の壁も何もエレベータの壁しかないだろうが。これ壊せばそりゃ外だろうよ!!」 「ああっ、こんな時に、モールくんのバッテリーが切れました・・・!」 「お約束すぎるだろ・・・!!」 「どうすんだよ・・・おーい、モールくん・・・」 「危ないですよ先輩、ヘタに刺激してモールくんの野生本能を呼び覚まして二人とも食べられちゃったらどうするんですか」 「そんなに危険な人形なのかこれは?!」 「んなワケないでしょ。こんなに可愛いのに」 「・・・・・・。」 「・・・あっ、エレベータ内の電気がつきましたよ」 「ってことは、停電が直ったのか!あー、よかった・・・じゃあエレベータのドアも開くだろ」 「いやムリですよ。モールくんがドアに突き刺さってますから」 「はよ抜け!!」 |