ケミカ | 「ふたごじまってなんだろう・・・?」 |
スイソ | 「今更!?あと今言う!?そ、それよりも、お願い、フリーザー!」 |
ケミカ | 「あ、そうだった!ぼくたち、どうしても先に行かなくちゃならないんだよ!」 |
スイソ | 「頼むからここを通してよ!」 |
フリーザー | 「ダメだ!通すことはできない!」 |
スイソ | 「なんで?どうして通っちゃいけないの?」 |
フリーザー | 「この冷たい森の空気が・・・ここにきてかなり暖かくなっているからだ」 |
ケミカ | 「・・・地球温暖化?」 |
スイソ | 「違います。暖かいって・・・オイラすごく寒いんだけど・・・」 |
フリーザー | 「森の冷気が乱れ・・・雪が溶け始めている。今まで溶けたことのない雪が溶け始めているのだ」 |
ケミカ | 「・・・温室効果ガス?」 |
スイソ | 「違います。でも、どうしてオイラたちが通っちゃいけないんだ・・・?」 |
フリーザー | 「これは今まで一度もなかったことだ。そしてお前達が森に現れた。これはお前達の仕業ではないか!」 |
二人 | 「(え!?)」 |
ケミカ | 「そ、そんなことない!そんなの偶然だよ!」 |
スイソ | 「ねえフリーザー、よく聞いて。ここの雪が溶け始めたのはオイラたちのせいじゃない。今は色んなところで災害が起きているんだ」 |
フリーザー | 「そんなこと、信じられるか!!」 |
スイソ | 「ち、ちょっと・・・!」 |
フリーザー | 「問答無用!覚悟しろ!!」 |
アリル | 「待て!!」 |
ケミカ | 「!?」 |
フリーザー | 「あ、アブソル!」 |
アリル | 「この者達の言うことに偽りはない。自然災害は、今至る所で起きている」 |
フリーザー | 「ほ、本当なのか・・・?」 |
アリル | 「本当だ。私には自然災害をキャッチする力がある。しかも今回は今までに感じたことのない特別なものだ」 |
フリーザー | 「・・・・・・ここだけではないのだな、災害は・・・」 |
スイソ | 「・・・・・・」 |
フリーザー | 「・・・分かった。お前達を信じよう。ここを通るがいい」 |
スイソ | 「あ、ありがとうフリーザー!」 |
フリーザー | 「ただし!これ以上災害が広がらないよう食い止めるのだ。頼んだぞ!」 |
ケミカ | 「ファイヤーも同じこと言ってたね・・・うん、約束するよ、フリーザー」 |
スイソ | 「ふう・・・助かった・・・ありがとう、助かったよ」 |
アリル | 「・・・礼を言う暇があるなら、一刻も早く自然災害を食い止めることだ。このままではよくないことが起こる」 |
スイソ | 「もう十分起きてるけど・・・」 |
アリル | 「私の本能がそう告げているのだ。私は自然災害の恐ろしさを察知し、危機を感じるままここへやって来たのだが・・・」 |
ケミカ | 「・・・アブソル?」 |
アリル | 「・・・ここからは力を合わせた方がよさそうだな・・・」 |
スイソ | 「えっ」 |
アリル | 「私もお前達の仲間になろう。」 |
スイソ | 「ええ!?ホントに!?」 |
アリル | 「本当だ。災害を食い止めるには協力した方がいい。私の力を貸そう。」 |
ケミカ | 「ありがとう、アブソル!実は最初から仲間になってくれると思ってたんだ」 |
スイソ | 「うん、そうそう、実は思ってた」 |
アリル | 「・・・なぜだ?」 |
ケミカ | 「待て!!って言った時から左に名前が出てたし。アリルって」 |
アリル | 「・・・・・・。」 |
ケミカ | 「・・・雪山の道がひたすら続いてる・・・ここまでかなり歩いたし、スイソも大分疲れてるみたい・・・。
今まで必死になって旅を続けてきたけど・・・この先何があるんだろう・・・本当に、これでよかったのかな・・・」 |
スイソ | 「うう、寒すぎる!辺りはもう雪だらけだね。さっきからずっと同じ景色だし・・・これ、ホントに先に進んでるのかなあ・・・」 |
アリル | 「イワークでビバークを思い出すな」 |
スイソ | 「思い出しません。ねえ、ケミカ?思うんだけどさ・・・」 |
アリル | 「構ってくれない・・・」 |
ケミカ | 「・・・あ、なに?」 |
スイソ | 「とうとう誰もいない場所に来たって感じだし、この先歩いても何もないって気もするし・・・もうかなりヘトヘトだし・・・」 |
ケミカ | 「・・・・・・」 |
スイソ | 「オイラたち・・・どうなっちゃうんだろうね・・・」 |
ケミカ | 「・・・だ、大丈夫だよ、何とかなるよ・・・ここまで頑張って来たんだし・・・」 |
スイソ | 「・・・・・・そうだよね。ここまで来て、どうなるも何もないよね。」 |
アリル | 「ねえ」 |
スイソ | 「ゴメン、ケミカ。オイラ弱気になっちゃって。ケミカを信じてここまでやってきたんだもん」 |
アリル | 「ねえねえ」 |
スイソ | 「オイラ、これからもケミカを信じるし・・・どこまでもついて行くよ」 |
ケミカ | 「・・・うん、ありがとう」 |
アリル | 「ねえねえねえ」 |
ケミカ | 「(・・・そうだ、スイソは迷わず信頼してくれてる、なのに自分が迷っちゃダメだよね。もっと自分を信じるんだ)」 |
アリル | 「(ところでどうして二人は逃亡生活を始めたんだ?どうしてケミカはポケモンに?)」 |
ケミカ | 「(心の中にまで話しかけてこないでよ・・・)」 |
スイソ | 「(二人とも、心の中で会話するなんてずるいよ!)」 |
ケミカ | 「(全員でやってたら収拾つかないよ!!)」 |
ケミカ | 「・・・な、なんだろう今の?めまい・・・かな・・・?」 |
スイソ | 「ん?どうしたのケミカ?」 |
サーナイト | 「(・・・・・・ついに・・・ついに、ここまで・・・)」 |
ケミカ | 「(誰かが語りかけてくる・・・スイソ?いや、この声はスイソじゃない・・・この声、どこかで聞き覚えが・・・)」 |
サーナイト | 「ついに、ここまで来たのですね・・・」 |
ケミカ | 「・・・・・・!!サーナイト・・・!!」 |
サーナイト | 「お待ちしておりました。よかった、やっとお会いできましたね」 |
ケミカ | 「キミは、一体・・・」 |
スイソ | 「ねえ、ケミカ。どうしたの?」 |
アリル | 「どうしたのだ?さっきから何度も「サー直人」とタイプミスしているが・・・芸人の名前?」 |
ケミカ | 「しっ!」 |
スイソ | 「さっきから独り言ばっかりだけど・・・?」 |
ケミカ | 「サーナイト、もしかしてみんなには・・・」 |
サーナイト | 「はい、他の方々に私の姿は見えません。ここからもう少し進んだところに「ひょうせつのれいほう」という山脈があります」 |
ケミカ | 「氷雪の礼法?」 |
サーナイト | 「霊峰です。その頂上の奥に・・・キュウコンがいます。」 |
ケミカ | 「キュウコン?!」 |
サーナイト | 「キュウコンはあなた方が来るのを待っています。気をつけて・・・」 |
ケミカ | 「あ!ちょっと!・・・消えちゃった・・・」 |
スイソ | 「ねえ、ケミカ!ケミカってば!どうしたの?一体何があったの?」 |
ケミカ | 「そ、それが・・・」 |
アリル | 「あなた方が来るのを待っているって、私も入ってるのかなぁ。イヤだなぁ。ドキドキ」 |
ケミカ | 「アリルにも見えてないはずでしょ!!あとそれはMOTHER2!」 |
スイソ | 「・・・ケミカ、MOTHER2ってなんだろう・・・?」 |
スイソ | 「・・・そっか、そんなことがあったのか。サーナイトが現れて・・・それでさっきボケっとしてたんだね」 |
ケミカ | 「う、うん・・・」 |
スイソ | 「キュウコンって伝説じゃなくてホントにいたんだ・・・それで、あの頂上にキュウコンがいるんだね」 |
ケミカ | 「・・・・・・」 |
スイソ | 「ううっ!・・・ケミカ!!」 |
ケミカ | 「わ・・・な・・・なに?」 |
スイソ | 「ここまで頑張ってきた甲斐があったよね!キュウコンに会って、ホントのことをきこう!」 |
ケミカ | 「・・・うん・・・」 |
スイソ | 「これでケミカの疑いもやっと晴れる!よかったよかった!」 |
ケミカ | 「・・・・・・」 |
スイソ | 「ねえ、ケミカ・・・そんな不安そうな顔しないでよ。大丈夫だって。」 |
ケミカ | 「うん・・・でも・・・」 |
スイソ | 「そりゃ、ケミカはキュウコンに会うのは怖いと思うよ。サーナイトを見捨てた酷い人間は、もしかしたら自分かもしれないって・・・。
ついそんな不安な気持ちにもなっちゃうよね。でも、あり得ないよ。そんなことは絶対。」 |
ケミカ | 「な・・・なんで、そこまで信じられるの・・・?」 |
スイソ | 「なんでって・・・そりゃ、ちょっと前は疑ったこともあったけど・・・今は・・・」 |
ケミカ | 「・・・・・・」 |
スイソ | 「・・・あれ?どうしてかな?」 |
ケミカ | 「・・・え」 |
スイソ | 「ホント、どうしてだろう・・・??でも、とにかくケミカはいい人だし。」 |
ケミカ | 「そ、そう・・・?」 |
スイソ | 「オイラが救助隊をやりたいって思ってた時に、小さな森でケミカに出会った。思い返すと、その時から何かピンと来るものがあったんだ」 |
ケミカ | 「・・・最初はスルーしまくってゴメンね・・・」 |
スイソ | 「はは、ほんと、不思議だよね。でも、オイラはケミカを信じるよ。とにかくあそこに行けば真実が明らかになる」 |
ケミカ | 「・・・そうだね。じゃあ、あと少し頑張ろう」 |