◆鳥人戦隊ジェットマン◆
戦隊シリーズ初のゲーム



1991年12月21日発売  発売元:エンジェル  ジャンル:ACT
価格:6000円   おすすめ度:2.5(巨大戦はいいのだが…)


地球は、最大規模の勢力を有する『スカイフォース』によって守られていた。 その組織は、衛星軌道上に『アース・シップ』という基地があり、そこでは人間の力を何倍にも高めるという『バードニックウェーブ』を開発していた。

だがそのさなか、裏次元を支配してきた次元戦団バイラムが、表次元の地球に侵略を開始。 その手始めに、バードニックウェーブを開発していたアース・シップを破壊、これにより4人分のバードニックウェーブは地球上に降り注ぎ、 偶然にもスカイフォースとは関係ない民間人4人が浴びることになる。

一方、最初にバードニックウェーブを浴びた、スカイフォースの軍人の1人である天堂竜は、バードニックウェーブ開発責任者の小田切綾長官と共に、アース・シップから辛くも脱出。 竜は、バードニックウェーブを浴びた4人を探し見つけるものの、個人個人の理由により引き込みは難航を極めるが、遂に4人を仲間にすることに成功、ここに『鳥人戦隊ジェットマン』を結成、バイラムに戦いを挑む。

バイラムは、巨大魔城バイロックを根城に、少年エスパーのトラン、戦いを好む冷酷な剣士ラディゲ、プライドが高いロボットグレイ、紅一点のマリアの4大幹部と、 戦闘員のグリナム兵、様々な物体に寄生して次元獣に変身させる次元虫(後にバイオ次元虫)、次元虫が寄生した物体が変化した次元獣(後にバイオ次元獣)で成り立っている。

その4大幹部は、現在不在となっている首領の座を求めて、互いに競い合いながら地球征服を進める。 しかし、その1人マリアは、かつて竜の恋人だったが、バイラムに連れ去られた上に改造されてしまったのだ…。


スーパー戦隊シリーズの第15作品目であり、高年齢層に評価があった作品。 なぜ高年齢層に評価があったかというのは、あまりなかったメンバー同士の恋愛を前面に押し出しており、別名『トレンディ戦隊』という一面があった。

この他にも、1人が軍人で他全員が民間人なために、チームワーク以前に個人の性格描写を多く描いたことやかなりのメンバー同士の衝突が多かったこと、 敵の中にかつて愛し合っていた人がいるといった、大人に評判がある要素をふんだんに取り入れたため、前作の『地球戦隊ファイブマン』における視聴率の低下を防ぐことができた。

もちろん、全体的に人気もかなりあったために、総集編ビデオに本編の後日談を入れたり、原作版とは全く内容が改変されたコミカライズ版や小説版も登場、 これも人気を呼ぶことになり、ついにはファミコン版も登場した。

FC版を出すことを考えたのは、スーパー戦隊シリーズの大手スポンサーのバンダイ。 しかし、この年のバンダイは、『まじかる☆タルルートくん』や『騎士ガンダム物語2』、『ファミコンジャンプU』や『ドラゴンボールZU』と、 ジェットマン発売までに任天堂が提示した、ゲームメーカーは1年間に出してもいいゲーム数の最大数である4本を発売させていた。

そこでバンダイは、2年前(1989年)から続いている自分の子会社を作って、そこでゲームを作るというやり方をとってきた。 バンプレスト・ベック・ユタカ(元はポピーでバンダイに吸収されてしまったので、実質的には子会社として再分割したといっていい)も、そういった経緯により誕生した会社であった。


そしてこの年、バンダイは新たに『エンジェル』という名前の子会社を誕生させた。 つまりバンダイは、自分の作ったゲームを出したいがために、次々とゲーム会社を子会社とはいえ乱立させたことになる。

バンダイから分離したとはいえ、ゲーム開発のノウハウに関してはあまり知識を持っておらず、開発を他のゲーム会社に下請けという形で要請しなければならなかった。 そんなエンジェルが白羽の矢を立てた会社が、硬派で独特性のあるアクションを作ることで有名なナツメであった。

もっとも、タイトル画面やエンディングに、ナツメの会社の名前はないのだが。

ステージ数は6で、最終ステージ以外は自由に選ぶことができる。 AからEまで選べるが、難易度的にAが一番やさしくEが難しくなっている。

キャラを選ぶ際に、5人のジェットマンの中から1人を選ぶのだが、レッドホークとブラックコンドルはブリンガーソード、 イエローオウルはウイングガントレット、ホワイトスワンとブルースワローはバードブラスターを武器としている。

ブリンガーソードとウイングガントレットは攻撃力が高いが近距離用で、バードブラスターは遠距離攻撃できるが威力が小さい。 そのためか、ライフはレッド・ブラック・イエローが多く、逆にホワイトとブルーが少ない。 それと、スタートで『LIFE』の右にあるマークがあるときに使用可能なメガクラッシュ(セレクトがポーズ)、上+Bがジャンプキックとなっている。


ステージ構成は、わらわらと現れるグリナム兵と数タイプの次元虫をなぎ倒しながら、ステージ最後に待ち構えているボスの次元獣と対決する。 ただし、等身大のまま戦うわけではなく、既に次元獣は巨大化しているので、対面したその場で巨大戦を行うことになっている。

その前に、戦隊ヒーローでおなじみの合体バンクが行われるが、ジェットマンが所持する巨大ロボは ジェットイカロス・ジェットガルーダ・グレートイカロスの3体(テトラボーイは、人工知能を搭載しているので搭乗できない)。 その中で、ゲームで使用できるのはグレートイカロスのみで、ジェットイカロスとジェットガルーダは合体バンクのみの登場となる。

合体バンク後に、ようやく巨大次元獣との戦いが始まるが、操作は格闘ゲームとほぼ一緒。 Aが攻撃でBがジャンプ、三連続パンチで強烈なストレートで画面下にあるパワーゲージの溜まり具合で強烈な必殺技を、 スタートで出すことができるが、ゲージが2段階目で出るグレートビーム以外は名称不明の技となっている。 そして、巨大次元獣の体力を0にすると、お待ちかねのとどめ技となるが、バードメーザーとハイパー・G・アタックの2種類で、どれが出るのかは全くのランダムである。


なお、登場する次元獣とバイオ次元獣は、カガミジゲン、カメラジゲン、バスジゲン、ライトアルマジロ、ジクウマンモス。 ちなみに、最終ステージに登場するボスは、オリジナルではなくTVシリーズに登場した敵だが、次元獣ではなくジェットマンに最も印象を与えた敵がラスボスになっている。

このゲーム、最初の戦隊ゲームなためか、評価は低かった。その理由は3つあり、1つ目はキャラクターの性能の問題。 その問題は2つあり、その1つがホワイトとブルーがあまりにも不利だということである。

遠距離攻撃ができるものの、攻撃力が低い上に体力も少ない。 グリナム兵は、意外にもすばやく体力もあるので、攻撃している間にこちらがダメージを食らうこともあるのだ。

このため、近距離では飛び蹴りを使うこと多いが、着地時に隙が出るために使うタイミングを見誤ると、こちらがダメージを食らってしまう。 事実、ホワイトとブルーが使えるのは、難易度的にAとBぐらいである。

それと、5人のキャラは自由にしかも何度でも使用できるのだが、ホワイトとブルー以外の他の3人も、 問題がないわけではなく、3人とも武器が違うだけで、基本性能については特徴がないため、これも問題の1つとなっている。

2つ目の理由は、子供向けのゲームゆえかゲーマーのレベルでは単純なものだった。 もちろん、裏技で選べるベリーハードは、体力がとてつもなく低いのだが、ステージの敵の配置や攻撃力といった要素は変わっていないため、 パターンさえ読めばノーダメージでボスへたどり着けることもできる。そのボスさえも、行動パターンは全く変わっていない。

3つ目は、このゲームの肝となっている巨大戦。 特に攻略が、敵の攻撃をガードして相手の隙を狙って攻撃したり、ゲージが満タンになったらスタートを押すといったあまりにも単純すぎるものなので、 パターンさえつかめればジクウマンモスでさえあっさりと料理することができる(さすがにラスボスは、こうはいかないのだが)。

その上、VSモードではいきなり巨大戦を始められるので、練習を積み重ねることで、敵の行動パターンはもちろん自分のゲームの腕も磨けられる。 なお、VSモードは合体バンクが省かれているが、ゲームの面白さを追及する人やジェットマンファンを考慮すれば、賛否両論だったのだろうか。


硬派なアクションを作り続けてきたナツメが、なぜこうも多くの問題を出す羽目になったか。 それは、少し前に発売された『特救指令ソルブレイン』と違って、元になるゲームがなかったためなのかもしれない。

ソルブレインは、同じナツメのゲーム『シャッターハンド』をソルブレインに差し替えて作られたものであり、 元のゲーム自体がよかったためにソルブレインも高評価を受けた(キャラゲーに関しては、あまりいい評価は得られなかったが)。

しかしジェットマンの場合は、元となるゲームがなく一から制作したので、不完全な部分が多く露呈し、 それに加えて親会社のバンダイから「子供にもプレイできるゲームを」と要請をし、それを子会社のエンジェルが開発元のナツメに求めたものと考えられる。

つまり、このゲームの評価が低いのも、色々なことを初めてやったために起こったことと思ったほうがいいかもしれない。

しかしながら、巨大戦は先の欠点があるとはいえ、合体バンクはTV版に近い形で再現されているし、バトル自体もなかなかに面白い。 また音楽も、他のナツメゲーム同様なかなかのものがある(ただし、タイトル画面のBGM以外全てオリジナル)。

長所と欠点を合わせるに、一からゲームを制作しただけあって、ジェットマンとしてのゲームは最低限以上に合格点を与えられるものといえよう。 それに、元々は子供向けに作られたゲームなために、子供には割りと受けがよかった。また、ソルブレインにはなかったパスワードも(数字制)好評だった。


こう考えると、ジェットマンのゲームは全体的にみて、高評価を受けられるものではなかったが、一からキャラゲーを作ったことに一定の達成感を得ることができたのではないだろうか。 それが証拠に、4年後の1995年に『MIGHTY MOPRHN POWER RANGERS(販売はバンダイ)』を登場させている。 内容は、ジェットマンをさらにパワーアップさせたもので、海外に輸出され大ヒットを得た。

これによって、ジェットマンで培ってきた努力と制作技術は、パワーレンジャーで生かされなおかつ大ヒットを得たことは、ジェットマンのゲームが無駄ではなかったことを示しているものといえる。 ちなみに、翌年『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のゲームを発売しているが、開発元がナツメではないことを付け加えておく。

私は、ジェットマン放映当時全く見ていなかったし、そのゲームも全くプレイしていなかった。 既に、私の趣味は特撮ではなくゲームに移ってしまったわけだが、『高速戦隊ターボレンジャー』放送期間の途中に毎週土曜日の午後6時から毎週金曜の午後5時半という、 学生の私にとって非常につらい時間帯になってしまったのも、『激走戦隊カーレンジャー』までスーパー戦隊をリアルタイムで見なかった理由の1つでもあった。


それから、ジェットマンを見ることになったのは大学生活中の間で、TVシリーズ全話はもちろん総集編も全て見た。 そのときの感想は、今までのスーパー戦隊とはかなり趣が違っていたことに驚いた。

メンバー同士の恋愛を前面に押し出していたほかに、恋人などの理由でのメンバー同士の衝突や彼ら個人の性格をより繊細に描写しているなど。 一方のバイラムも、恋人が敵幹部だったり子供が幹部だったり、なんと幹部をまとめる首領がいないのがとても驚いた。 他にも、戦闘員が全く出てこない話もあれば、強化怪人が続々と出てくる中で昔の怪人が挑戦してくる話など、本当にバラエティに事欠かなかった。


さてゲーム版の感想だが、等身大でのアクションパートはあまりできはよくなかった。 慣れていけば、難易度を高くても難しくはないし、キャラクターにしてもホワイトスワンとブルースワローが使いづらかった。 ザコ敵は、グリナム兵と2タイプの次元虫、それと何らかの破壊可能な仕掛けぐらいで、これもマイナスがある(バラエティに乏しい)。

巨大戦も、少々単純なものがあるが、それ以外は及第点をやれるかと思う。 なんといっても、合体バンクがすばらしいし、巨大戦も単純とはいえなかなかに楽しめる。

しかもバトルモードでは、ラスボス以外の次元獣とすぐに戦えることができるのだ。もっとも、ゲーム本編ではないので合体バンクは省かれているが。

ところで、ジェットマンをグレードアップさせた『MIGHTY MOPRHN POWER RANGERS』だが、何回かプレイしている上にクリアもしているので、いずれこのゲームもレビューしてみたい。 あれもあれでなかなか面白いし、ジェットマンと比べてみるのも一興かと思う。



本日のまとめ


完成!

グレートイカロス!!

(07/2/3修正)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月1日
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