発売日:1987年9月25日 発売元:コナミ ジャンルSTG
値段:4900円 おすすめ度:3.5(スケルトンカセットがイカす!) グラディウスの外伝的作品の1つ。 初代グラディウスの後に登場した作品なのだが、『グラディウスU』という主題もない上に、正当な続編は初代から3年後に登場している。 その外伝的な沙羅曼蛇も、翌年にはその海外版の派生版である『ライフフォース』が登場している。 さらに10年後には、沙羅曼蛇の続編が登場したことから、明らかにグラディウスの外伝的な作品であることがお分かりいただけるかと思う(しかし1997年にPSで、 『グラディウス外伝』が発売されたあたり、コナミは沙羅曼蛇とグラディウスは別扱いとしているのだろうか…?)。 このゲームがあまりにも異色的なのは、パワーアップがユニット方式であったり、縦横の交互的なステージ内容だったり、いくら得点を増やしても残機が増えないなどがある。 こういったグラディウスシリーズとはあまりにも違うシステムに、カルトなファンを作ることに成功したが、やはり意欲的な要素をふんだんに取り入れた分、マイナー性を強くした感もあった。 ともあれ、グラディウスの世界観を大きく広げたことは、よかったのではないだろうか。 そのAC版の翌年に、FC版が発売される。FC版はAC版と比べると、かなりの変更点が見受けられる。その違いを以下に記すと…、 ・パワーアップ方式が、カプセル制になった。 ・残機がどんどん増える。 ・ステージ構成やBGM、ボスの大幅な変更。 …である。 これら3つの変更の理由は、FCだからこそというものである。 昔はACの性能が格段に高かったのは、他のゲームレビューでも書いたとおりだが、当然FCといった家庭機は性能から考えても、ACに足元にも及ばなかった。 前作の初代グラディウスは、ACを忠実に移植した反面、いろんな形でAC版と大きく水を開く形となってしまった。 一応100万本という売り上げは達成したものの、あまりいい評価が得られなかったコナミはこういったことを踏まえ、 無理にAC版そのまま移植するのではなくFCのハードの性能を考えて、なおかつFCのハードにふさわしい出来で、AC版よりも劣らない面白さを出していこうと考えたのだろう。 それと家庭機ゆえに、ユーザーの層が広いのだ。特にFCは、いろんなジャンルのゲームを出しているがために、その人によってゲームの腕の差にばらつきがある。 だからこそFCといった家庭機は、ACのように難易度を上げたりせず、いろんな人がプレイしやすいよう難易度を低く調整した。 ちなみに、1つ目の理由であるカプセル制の変更は、FC版初代グラディウスに慣れた人やFCユーザーのためのほかに、同時期にACで登場した、 沙羅曼蛇の派生版である『ライフフォース』は、パワーアップ方式がカプセル制だったので、それにあわせたのだろうと思われる。 ところでビックバイパー(2Pはロードブリティッシュ)のパワーアップなのだが、FC版初代はレーザーが細かく切られ、オプションも2つしかつけられなかった。 FC版沙羅曼蛇は、前作と比べてROM容量が大幅にアップしたため、装着できる最大オプション数が1つ増えて3つになった(その代わりオプションの大きさは小さくなった)。 またレーザーの長さも、前作より数倍も伸びた。といっても、AC版よりは短いのだが(端から端に伸びないし)。 それとレーザーの見た目は、あたかも長く伸びるように見せるため、細かく切れたレーザーを並べて、あえて前作より長く見せることに成功した。 FC版『U』やFC版『パロディウスだ!』も同様の手法を取っている。 ところでAC版のフォースフィールドのデザインは、シールド(最大3つ)が自機に周りをぐるぐる回っているのに対し、FC版はフォースを全身にまとうという形に変更になった。 理由は、FC特有のちらつき(スプライトという)を抑えるための措置だったが(オプションがAC版より小さくなったのもその理由)、 AC版『グラディウスU』以降のグラディウス作品のフォースフィールドが、FC版沙羅曼蛇のデザインと同じであることから、この作品からフォースフィールドのデザインが正式に決定したのではないだろうか。 実際AC版のフォースフィールドは、シールドががぐるぐると回っていたため、敵弾や敵がシールドをすり抜けてくることがあった。 それをFC版はフォースをまとうことで、AC版の弱点を防ぐ形となった。 それと、ステージ5のボスの『ツタンカーム』は、『パロディウスだ!』に出演している。といっても、パロディ版の『キャプテンペンギンノフスキー3世』としてだが…。 さらにこのゲームから登場のオリジナルボス『ギーガ』も、FC版『U』でもボスとして再登場している(ステージ2のボスであるビッグアイを押しのけて…)。 こうしてみると、FC版沙羅曼蛇が後のAC作品に与えた影響は、意外と大きいと思う。そしてFC版初代からたった1年で、これだけの力を見せたのはさすがといえよう。 なおFC版は、コンテニュー可能なのだが、コンテニューした回数によってエンディングの画像が変わってくる(女性パイロットの画像がノーコンテニュークリア)。 しかし、このゲームに対しての評価はあまり芳しくなかった。ACファンはともかくとして、FCユーザーからもあまりいい評価は少なかった。 その背景には、このゲーム発売の2ヶ月前にハドソンから発売した『ヘクター87』があげられる。 なんといってもステージ構成がまったくの一緒だったからだ(ただし『沙羅曼蛇』の場合は、 奇数ステージが横スクロールで偶数ステージが縦スクロールなのに対し、『ヘクター87』の場合はそれとは逆となっている)。 普通なら「ヘクター87は、沙羅曼蛇のパクリだ」という解釈になるはずが、「沙羅曼蛇は、ヘクター87のパクリだ」と、完全に逆になってしまった。 こうなった理由としては、児童雑誌コロコロコミックのヘクター87の大体的な宣伝にある。FCユーザーの大部分は小学生であり、その小学生の大部分はコロコロの読者だった。 そのため、沙羅曼蛇の情報があまり入ることができなかったのだ。 今でこそインターネットといった情報網の発達のおかげで、「ヘクター87は、沙羅曼蛇のパクリだ」ということで大部分が認識しているが、 たった1本のソフトの単にとんだ誤解を受けたことは、ただただ不幸といわざるをえない。 私はこのゲームをファミマガで知ったことがある。 グラディウスをレビューしたときに、「グラディウスはファミマガのSFC版『V』の特集で知った」と書いたのだが、 それは初代で、別にグラディウスシリーズをすべて知らなかったというわけではない。 しかし最初に知ったグラディウスシリーズが沙羅曼蛇というのは、自分的に何か物悲しい気持ちになってしまうのだが…。 その後まもなくヘクター87をプレイして、なおかつコロコロの読者の1人になった私は、沙羅曼蛇をヘクター87のパクリだと誤解してしまった。 もちろん今ではその誤解は崩れてしまっているのだが、その誤解を崩すのに10年近くを要することになった…。 FC版は、グラディウスシリーズに慣れているため、パワーアップをカプセル制にしたことはいい判断だったと思う。 難易度もそれなりに難しいというだけで、あっさりと1週したし(ノーコンテニューでした)。それにしても自機が増えやすいから、拍子抜けした感もある。 最後になるが、当時のFCは、ゲーム内容のみならずROMカセットも凝っていた。 沙羅曼蛇はそれの代表格で、なんといってもROMカセットがスケルトンカセットであった。 私的に、これを見た当時、結構かっこいいと子供ながらに思ったことがある…。 本日のまとめ |