◆グラディウス◆
上上下下左右左右BA



発売日:1986年4月25日   発売元:コナミ   ジャンル:STG
値段:4900円   おすすめ度:3(コナミコマンドに尽きる)


1985年、上のキャッチフレーズが示すとおり、宇宙という名の衝撃をもたらすゲームが、コナミによって送り出されることになる。その名は『グラディウス』。

1981年の『スクランブル』を引き継ぐ形となった横STGのように見えるが、スクランブルと違う点は、当時としてはあまりにも美しすぎるグラフィックがあげられる。 特に端から端に伸びるレーザーの美しさは、誕生から20年以上たった今でもその美しさを保ち続けている。

そしてその威力も、美しさに給わずかなり強力だった(続編以降と比べると)。またBGMやSEも、当時としては高性能を誇った。 パワーアップカプセルを取ったときのSEが非常に心地よいのがその一例である。

他には、自機の分身的存在であるオプション、上下にスクロールするステージ、さらには全体的に機械と生物がバランスよく調和していることなどから、 グラディウスは新時代のSTGとして、AC内外からの注目を集めることになる。


それから翌年の1986年、グラディウスのFCへの移植が発売された。しかしAC版でやりこんだ人にとってFC版への移植は、あまりいい話題ではなかった。

ご存知のように、当時のACとFCといった家庭機の性能の差は、大幅に開いていた。 そのため、ACのゲームを家庭機に移植する際、AC版の性能を下げて移植することにしていた。 もっともごく一部のゲームは、AC版そのままもしくはそれ以上のアレンジで移植されたのだが、あくまでごく一部であり、ほとんどは移植度を下げての販売が一般的となっていた。

当然グラディウスも、それに当てはまることになった。移植度を下げての発売とはいえその性能は、AC版と比べ物にならないほど低かった。

FC版に移植する際に削られた要素としては、

・レーザーが細かく切られれている。

・オプションが2個までしか付けられない。

・上下にスクロールするステージでは、その上下スクロールがなくなっている。

・「からかさ」ことアイアンメイデンが出てこない。

・ビッグコアが切り詰められている。

・ザブが撃ち返し弾を撃ってこない。

・ラスボスが倒せない。

…である。


特に、上から5つ目までは容量の都合によるもので、このことはファンをひどくがっかりさせた。

ちなみに6つ目は、賛否両論が分かれた。 ザブ大量発生地帯での行動パターンができなくなった(というよりする必要がなくなったので、よけるスリルさが失われてしまった)という批判的な意見と、 撃ち返し弾を気にせずにバンバン撃ち落せることがいいという肯定的な意見である。

なお7つ目は、あまり気にする必要はないと思う。 ラスボスが倒せないというより、ラスボスである脳みそを支えている電流を流している機械を壊せないということなのだが、 AC版もそれらを全て壊しても結局は得点が入らないので、ある意味どうでもいい変更ではある。


このように、AC版とはあまりにもかけ離れた形での移植となったのだが、その分FC版独自の要素をと取り入れた。 『ドルアーガの塔』ではAC版よりも難しい「裏ドルアーガ」を入れたように、グラディウスでもそういった試みをしていった。

主に下記に記すと…、

・特定の地点を通過するとボーナス得点(場合によっては1UP)が入る。

・あることをすることで、『?』のパワーアップが変わる(オート連射と10000点ボーナス)

・特定のステージであることをすると、ワープできる。

・シールドの性能がパワーアップ

・スピードのパワーアップが最大15段階に上昇。

・エンディングのおまけ。

・コナミコマンドの導入。

…である。


1つ目と2つ目は、FC界で得点が高い人が偉いという風潮が強かったことによるものらしい。 しかも、得点数は中途半端に高かったので、特定の地点を通過しようとして(『?』のパワーアップを得点に変えるタイミングを計ろうとして)敵にやられるプレイヤーが後を絶たなかった。

3つ目は、FC版のアレンジを象徴する1つであり、続編以降の家庭版においてもそういった要素を加えている。 ただ、やり方が結構難しいので、成功したプレイヤーはあまりいないかと思う(私も成功した回数はわずかしかない…)。

4つ目は、ACユーザーにとってもうれしい要素ではないだろうか。 バリア的存在であるシールドは、自機であるビックバイパーの前に張り出されるので、正面に対しては強いのだが、それ以外では脆いため、あっさりとやられてしまうことが多かった。

FC版の場合は、シールドではなくバリアという設定に変更している。見た目こそシールドなのだが、後ろから撃たれてもやられることはない。 これは変更というよりパワーアップといったほうがいい。この設定は、FC版『沙羅曼蛇』から登場するフォースフィールドの原型ではないだろうか。

5つ目は、どうでもよかったりする。 スピードがAC版と比べて速くなることはいいのだが、これといって別に得になるというわけではなく、むしろスピードアップのし過ぎで、壁にぶつかることが多かった。

6つ目は、なかなかにコナミらしさがでている。 エンディングの最後にローマ字でプレイヤーの栄光をたたえるメッセージが出るのだが、ネタバレにつきここでは述べることができない(ちなみに最初のメッセージは『KANGEKI』)。

そして真のメッセージを見るためには、なんと6回クリアしなければならないのだが、その時に現れるローマ字のメッセージの頭文字を合わせることで、 『KONAMI』という真のメッセージを見ることができるのである。まさに、コナミらしい粋な計らいである。

そして7つ目が、FC版の象徴の1つであると同時に、後のコナミの家庭版STGに多大な影響を与えた要素である。 ゲーム途中でスタートボタンを押した後、『上上下下左右左右BA』とコマンド入力すれば、あら不思議、なんと自機がフルパワーアップ状態となるのだ。 グラディウスシリーズの復活パターンはかなり難しく、見事復活(せいぜいオプションが2つとスピード2段階とミサイル装備がベターか)することができれば、 天才とは言わずとも名人に近い拍手喝采がわきおこった。

FC版では、コマンド入力することで、あっさりと復活パターンが可能となったのだ。 これを『コナミコマンド』といい、ゲーム業界に与えた影響はあまりにも計り知れない。
プレイヤーにとっても、コナミコマンドの印象は強烈過ぎたのか、AC版にもコナミコマンドがあると思い込んだ人もいたという。


恥ずかしながら私がグラディウスを知ったのは、AC版登場から5年(FC版発売から4年)という遅さだった。その昔、私にとってSTGといえば、ハドソン系のSTGであった。

で、グラディウスの初代を知ったのは、ゲーム雑誌でSFC版Vの特集記事と同時に載っていた情報による。 FC版の初代をやらなかった理由としては、グラフィックがあまりにも汚いというだけで避けていた。 その上、STGに関してはあまりうまくないので、FC版の初代をプレイするまでには、なんと15年以上かかったのだ…。


そして、レビューを書く際にプレイしたのだが、AC版よりも汚いばかりか、あらゆる面でAC版と質が違っていたので(悪い意味で)、結構がっくりはしたのだが、全体的にAC版の雰囲気は残している。 モアイステージはもちろんのこと、容量の都合で小さく切り詰められたビッグコアも、一定のダメージを受けると、一枚ずつコアを守っている装甲がちゃんとはがれるという仕掛けまで移植されている。 そしてコナミコマンドは、何かとお世話になった感が強い。

もっともAC版と比べると、移植の低下は否めないのか、中古ショップでは結構投売りされていた(私は100円で購入)。 今でこそAC版を忠実に移植されている家庭版は結構お目にかかれているので、あまりFC版を好意的に受け止めている人はあまり見かけない (他人のレビューでも好意的に書いてないのが少し多い。たぶん私があまり調べていないからなのだろうか…?)。

しかし、コナミコマンドやシールドのバリア化は、後のコナミ系のSTGに多大な影響を及ぼしているので、少しだけでもプレイしてほしいと思う。 値段も大体200円程度で(全体的な市場を考えてとちょっと見て)投売りされてるから、そんなに損はしないと思うので…。

最後に『アルキメンデス版』についてだが、ごく一部だけ出回っている。アルキンメデス版は、とある大手食品メーカーが懸賞として出したものである。 通常版と違うところは、パワーアップカプセル等がアルキメンデスバージョンに差し替えてるところだけである。

ちなみにアルキメンデス版の値段は、約3万ほど。 FC版を純粋に楽しむなら、別にアルキメンデス版を買う必要はないと思う(買う人といえば、ゲームコレクターぐらいか)。



本日のまとめ



KANGEKI!

(06/4/24レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月17日
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