◆元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険◆
ながいたびがはじまる…



発売日:1986年11月21日   発売元:バップ   ジャンル:ACT
値段:4900円   お勧め度:0(もはや伝説的…)


ビデオ(+音楽)メーカーのバップの第1弾にして、史上最大のクソゲーと名高いゲーム。 この頃のゲームメーカーは、AC業界のメーカーかパソコン業界のメーカーだけだったが、時代が下るごとにゲームメーカーの数は増えていき、それと比例してFCの人気や知名度は上がっていった。 それに目をつけたのが、コンピューターゲームとは全く関係のないメーカーだった。

主に音楽メーカーや出版メーカーが多かったのだが、それらのメーカーの専門分野には長けていた反面、ゲームに関する分野は皆無だった。 そのため、クソゲーを次々と世に送り込んでしまっている。 例え良作を1本出したとしても、それ以上にクソゲーを20本以上出してしまっている計算となる(そこまでは行かないかと思うが、例えであるということで納得してほしい)。

あれだけクソゲーを多く量産しているのにもかかわらず、ゲーム業界に居座り続けた(失礼!)メーカーが多かったのは、本来の業務がうまくいっていたことが1つの理由なのかもしれない。


さて、このゲームのクソゲーたる理由なのだが、それを下に記すと…、

・ゲームタイトルが意味不明。

・何の脈絡もなく、いきなりフィールドに飛ばされる。

・歩く速度がやたら遅い。

・攻撃反応が遅すぎる。

・フィールドに目印がない。

・都に入るや、いきなり襲われる。

・プレイヤーを馬鹿にした内容。

・読み込み時間(?)が長い(というよりある)。

・そもそも、一体何をしたらいいかわからない。

・というより完全に説明不足。

・物語の設定がめちゃくちゃ。

…である。


1つ目は、クソゲーによくあることである。 どうもクソゲーになるタイトルは、おおっぴらなタイトルをつけることが多い。 このゲームもこの例に漏れず、『元祖』とか『スーパー』といった妙に誇張しすぎているところが、いかにもクソゲーのタイトルらしい。

2つ目は、『ながいたびがはじまる…』というメッセージが出て、しばらく経つとなぜかフィールドのど真ん中に取り残されてしまう。 もちろんそのゲーム登場の前後のアクションゲームは、唐突にステージが始まるものが多かったのだが、それはある程度進む目的が決まっていたからこそだったから。 RPG要素もあるこのゲームは、普通は「まずは○○へ行きなさい。」という目的のメッセージが出るはずなのだが、それすら出ない。

3つ目は、RPG風にしたせいなのか、なぜか歩くのが遅い。 ドラクエよりも、歩く速度が遅い(スーパーモンキーは、歩く速度が2分の1ぐらい)。ある意味ストレスが溜まる要因である。

ストレスが溜まる要因といえば、4つ目もそうだ。如意棒を振る時間がやたら遅く、正直敵に当たってるかどうかわからない(攻撃範囲が不明)。 ただ、如意棒を振ってるときは、なぜか完全無敵になる。

5つ目は、ワープゾーンのこと。 このゲームは、いくつかのワープゾーンを使って天竺を目指すわけなのだが、一部だけ表示されていないところがあり、あまりにも不親切である。 もっとも全体地図がないこと自体、不親切なのだが。

6つ目は、都に入ると、なぜか弓兵に襲われるということ。 実は西遊記の原作で、主人公の孫悟空はもちろんのこと、仲間の猪八戒と沙悟浄も何かしらの罪を背負っている。 また三蔵法師も、実は罪を背負っているのである。

都に入って襲われるという設定は、一応は原作を再現しているともいえる(それ以前にスタッフ全員は、物語本編の真のあらすじを知らないと思うが)。


7つ目は、このゲームを語るのになくてはならないものである。 一文だけでただの与太話(無駄話)的なメッセージ、戦闘で全員やられたときの(食料や水がなくなっても同じ)『ああ しんじゃった!』、エンディングで『おしまい』の一文だけ。

そもそもゲーム自体プレイヤーを馬鹿にしているのだが、それでは先に進めないので、これの件はスルーさせていただく。

8つ目は、完全に理解不能である。 普通FCは読み込み時間がないのだが、このゲームは所々にあって、しかも中途半端に長いのである(4、5秒ぐらい)。 なぜ読み込み時間があるのか、いまだに不明である。

9つ目は、一応西遊記をベースにしてはいるのだが、どうやって目的地の天竺へ行くのかわからないのである。 その上、5つ目のワープゾーンの件と合わせると、必ず道に迷って『ああ しんじゃった!』ということになりかねないのである。

10個目は、そういったことが色々あるのだが、特に説明不足なのが民家に入ったときの奇妙な暗号である。 民家に入るやいなや、『AB AA B』といった一文だけの謎の暗号が数秒間出るのだが、実はこれ、パスワードである。

何らかの事情でゲームオーバーとなってタイトル画面に戻ったとき、暗号風のパスワードを入力すれば、パスワードを聞いたところから再び始められるのである。 ちなみにこれは説明書にも書いておらず(一応ヒントらしきものは書かれていたが…)、裏技扱いとなっている。

11個目は、西遊記をベースにしていての致命傷が高いところである。 西遊記をベースにしているため、三蔵法師一行はもちろん、金角や銀角といった悪党も出るのはいいのだが、ラスボスが牛魔王ではなく混世魔王である。

混世魔王といえば、水滸伝やアニメ版ジャイアントロボではかなり有名な名前なのだが、実は西遊記にもそういった名前が出ているのである。 ただし西遊記では、物語序盤であっさりと悟空に倒されるだけのしょうもない人物なのだが、このゲームではなぜかラスボスとして登場しているのである。

では牛魔王はどうなってるのかというと、ちゃんと登場はしている。ただし、雑魚キャラとしてなのだが…。 完全に物語とは逆になっている。


…という風に、このゲームはあまりにもクソゲーたる理由が多すぎるのだが、1つだけ斬新的なところがある。 それは、時間の概念を取り入れたことだ。

時間の概念を取り入れたゲームといえば、まずドラゴンクエストVが思いつくのだが、最初にそのシステムを取り入れたのは、この『元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険』だったのだ。 もちろん、ドラクエのように時間の進み方は早くはないのだが、ちゃんと夜になれば画面が暗くなるという手法をとっている。

しかも戦闘に入っても、しっかりと時間が進んでいくあたり、ドラクエはもちろん他のゲームよりもかなりリアリティがあふれている。 さらに戦闘中でも食料や水が減るということは、緊迫感もあふれていて、なかなかに興味深い。

こういった斬新なシステムがあるにもかかわらず、このゲームが伝説的なクソゲー扱いされる理由は、前に書いた11個の理由が原因である。 ゲームとして成り立っていないといえばそれまでなのだが、時間の概念という斬新さを取り入れたことは、認めるべきである。

スーパーモンキーに限ったことではないのだが、これの発売の前年からクソゲーと呼ばれるソフトが登場し、スーパーモンキーの発売の年になると、その数が一気に増えた。


普通ならば、アメリカで起こった『アタリショック』が起こっても不思議ではなかったのだが、日本でそういったことが起こらなかった理由は、ゲーム専門雑誌があったことと、 ゲーム専門雑誌ではないが漫画雑誌でもファミコンの特集が毎回やっていたこと(小学館が有名)、ファミコンの対抗機種が登場したこと(主にセガマークV)、 そして何よりも名作と呼ばれるソフト達が、アタリショックの二の舞を防いだ形となったのである。

ファミコン開発当時の任天堂は、アタリショックの恐ろしさを十分に認知していた。 そのためファミコン開発の際には、ハードの性能よりもソフトの質を重視したのである。 だからこそクソゲー以上に名作が目立つことができたのだ。

私はこのゲームの存在を知ってから、そんなに時間は経っていない。このゲームを調べていると、かなり罵倒的な評価が目立つ。 そこで私は、このゲームのレビューも兼ねて、どのくらいクソゲーなのか調べるために早速プレイすることにした。ちなみにこのゲームは100円で購入。

そしてプレイした感想なのだが、攻略サイトがなければ本当に伝説のクソゲー間違いないというゲームだった。 いきなりフィールドのど真ん中に放り出されるわ、都に入ったとたんに襲われるわ、挙句の果てには『ああ しんじゃった!』など…。

当然ながらお勧め度は0にしてあるのだが、個人的にはボコスカウォーズよりは面白いと思う。 伝説的なクソゲーであるスーパーモンキーも、攻略サイトを見れば何とかクリアできるのだが、ボコスカの場合は99%運であるために、例え攻略サイトを見ても攻略できないのである。


最後に、スーパーモンキーの話題をもう1つ…。

このゲームを語る上でなくてはならない話題の1つに、ROMチェックの画像がある。 その画像を見てみると、とんでもないメッセージが書かれているのである。この画像についてはあまりにもアレすぎるので、画像の掲載はできない。

もしその情報を知りたければ、『デザイナーなかじまかおる』というキーワードで検索するといい。 あまりの衝撃さに、思わず卒倒すること間違いなしだ…。



本日のまとめ



おしまい

(06/4/8レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月16日
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