◆ゲバラ◆
カストロ議長に捧ぐ……?



発売日:1988年12月26日   発売元:SNK   ジャンル:STG
値段:5500円   おすすめ度:3(プレミア価格であまり手が出ないので…)


1956年、南米キューバ大統領バティスタは、重税と秘密警察を使って、この国を支配していた。 ゲバラはカストロに協力し、独裁者バティスタを倒すため、密かにキューバに潜入した。しかしすでに軍隊が、彼らを待ちうけていたのだった。

AC移植であり、キューバの英雄であるチェ=ゲバラを主役にしたこのゲーム。 元々は『怒』シリーズの外伝的作品にしたつもりなのだろうが、どこをどう考えたのか、何故か主役がゲバラになってしまった。

しかも一部に熱狂的なファンがいたとはいえ、日本は資本主義国家であり、キューバは社会主義国家。 さらにいえば、キューバはもちろん、キューバとの関係が悪いアメリカ(日本はキューバと国交を持っています)との間がこじれないか、キューバ革命を知るプレイヤーはそう思ったに違いない。 もっともゲーム自体は、『怒』シリーズを踏襲しているので、なかなかに面白いのだが…。


ゲームは全9ステージを進みながら、キューバを牛耳っているバティスタ(キューバの元大統領フルヘンシオ=バティスタのこと。当然実在する人物です)とその政権を倒し、 ゲバラが目指している革命(キューバ革命のこと)を果たすこと。システムは、トップビュー(真上)のアクションシューティング。

2人同時プレイが可能なのだが、1Pがゲバラで2Pがカストロという時点で、まず驚く。 ゲバラはともかくとして(ともかくではないのだが…)2Pのカストロのほうだが、あの現キューバの最高指導者であるカストロ氏そのままである。 このゲーム自体が問題なのに、カストロ氏をプレイできることについて、キューバ政府は抗議はしなかったのだろうか…?

攻撃方法は、Bボタンでショット、Aボタンで手榴弾。手榴弾のほうは、放物線を描きながら着弾点に爆発し、範囲内の敵や土嚢といった一部の障害物を倒せる。 ショットのほうは、障害物や赤い服の兵士敵を倒すと、たまに出てくる英文字のパネルを取ることによって、火炎放射、バズーカといったさまざまな武器を変えることができる。

さらに、ショットの連射が強化されるアイテムや、1発限りではあるが手榴弾の強化アイテム(メガクラッシュ)も見逃せない。 また、ステージ内にたまにおいてある戦車に乗ることで、敵を蹴散らすことも出来る(Aボタンで乗り降り。ただし一定時間内だが)。

簡単に言えば、怒シリーズのシステムを踏襲したものなのだが、私はこのレビューを書いている現在、 怒シリーズをまばらでしかプレイしたことがない…(怒シリーズの内容は知ってるのだが…。近いうちにプレイすると思う)。


このゲームにおいて、何かと話題になるものが2つある。1つは、このゲームに登場する捕虜の扱い方。 ゲームをある程度進めていくと、縄で縛られた黄色い人を見かけることがある。それが捕虜であり、助けると千点獲得、殺すと五百点マイナスとなる。

普通ならば敵を倒しながら捕虜を助けるというやり方で攻略するのだが、この時期のFCのアクション業界では、すでに得点制が有名無実化となってしまった。 もちろん規定得点以上での1UPはこのゲームも含めて、あるにはあったのだが、このゲームは何故か、1UPアイテムが意外とゴロゴロころがってた。 しかも捕虜を助けようにも、敵の攻撃が激しくて、やっと捕虜を助けたと思ったら、敵の流れ弾を喰らって死亡ということがザラだった。

ではこのゲームをクリアするためには、一体どうすればいいのか。何と捕虜ともども敵を殺戮するのである。 そのほうが、ゲームを楽に進められるからだ。先にも書いたように、捕虜を殺すと減点される。

しかし1UPアイテムが結構あるので、それほど残り人数には困らない。大部分のプレイヤーは、敵や捕虜を殺しながらこのゲームをクリアしていった。


これがゲームならまだいいが、現実ならこんな恐ろしいことはない。しかもキューバの英雄の2人が、捕虜を殺しながら、革命を成し遂げていくのである。 ゲバラの遺族やカストロ氏がこのゲームをプレイしたら、卒倒すること間違いなし。 さらにいうと、このゲームで捕虜を何人殺そうが、全くエンディングには関係なく、革命は達成出来るのである。

もう1つの話題は、裏技で『サスケVSコマンダー』というACをプレイできること。 このゲームは1980年に、当時『新日本企画(『SnNihonKikaku』の大文字をとってSNK)』という会社名だったSNKが開発した、往年の人気ゲーム。

このゲームに関しては各自検索するとして、このゲームをプレイする裏技だが、1P2P選択画面で、TコンとUコンのABとスタート同時押しで面セレクト可能にする。 そしてステージ5を選択し(Aで選択)、TコンとUコンのABと上を同時に押しながらスタートを押すと、サスケVSコマンダーをプレイすることが出来る。

といっても、ボスの忍者は出てこないし、色合いも少し暗いので、正式な移植ではなく簡易版といったほうがいいかもしれない。 しかし家庭用で移植されているのは、ゲバラのみである(現在では携帯で遊べるのだが)。

それにしても、何故ゲバラにこのゲームを追加したのか、全くの謎なのだが…。


私がこのゲームを知ってからレビューを書くまでの間は、そんなに長くはない。といっても他のゲームと比べたらの話なのだが(正式には数年前)。

私が通ってた大学の大学祭でのフリーマーケットで、ゲームの袋詰めが100円で売られてた。 思わず買った私は、袋の中身を調べた。入ってたゲームは、FCソフトとSFCソフトが約10個。 その中に、あのゲバラが入っていたのだ(ついでに前にレビューした『スーパーアレスタ』もこの中に入ってます)。

しばらくして大学の近くにあるゲームショップに行ってみたら、何とプレミア価格で売られていた。それも12800円で…。 まさか100円で手に入れたゲームが、12800円で売られていたとは驚きである。

ちなみにフリーマーケットで手に入れたゲームは、買った当時は全くプレイしてなかった…。 こう考えながらこのゲームをプレイしてみると、うかつに売らなくてよかったとほっとしている。

で、ゲバラがプレミア扱いになってる理由は、このゲームの設定とサスケVSコマンダーが、家庭用で唯一移植されていたからだと私は思う。 ゲームの設定といえば、カプコンの『ヒットラーの復活』も結構アレな設定ゆえに、ややプレミア価格が付いてるそうな。

ゲバラといいヒットラーといい、今では非難されるゲームも、昔はアクションマニアにうけてたのかなと考えてしまう。 それが証拠にゲバラもヒットラーも、海外に輸出されている(どちらもタイトルを変えての輸出だが)。



本日のまとめ



むしろカストロ議長に捧げたい………?

(06/3/22レビュー)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月16日
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