1985年12月5日発売 発売元:ソフトプロ ジャンル:ACT
価格:4900円 おすすめ度:3(モーションはいいのだが…) 南斗再試拳(なんとさいしけん)の使い手であるカラテカは、マリコ姫と相愛の仲になり、いずれ結婚することも考えていた。 しかし、悪の空手家であるアクマ将軍は、マリコ姫を自分のものするべくさらっていった。 カラテカは、マリコ姫を救うべくアクマ将軍の居座る本拠地の館に、単身で乗り込んでいった。 だがそこは、数々のトラップはもとより、アクマ将軍の部下達がカラテカを始末すべく待ち構えていたのだ。 さらに、アクマ将軍自身もカラテカをもしのぐ実力を持つ空手家であった。 果たしてカラテカは、アクマ将軍とその一味を倒し、無事にマリコ姫を救い出すことができるのだろうか? 1985年は、『スーパーマリオブラザーズ』を筆頭に、様々な名作ゲームが世に出ることになり、名作には及ばないものの秀作や佳作と呼ばれたゲームもそれなりの人気を得ることができた。 その一方、ゲームバランスや操作性などが悪いといった、いわゆるクソゲーと呼ばれるゲームも徐々に増え始めてきた。 しかし、そのクソゲーの境界線もいまだ定まっておらず、名作とクソゲーの狭間でゆり動くゲームもかなりあった。 誰もが認めるクソゲーならともかく、クソゲーか名作かという意見に分かれているゲームとなると話は違ってくる。 この時期に登場した、ファミコン専門雑誌『ファミリーコンピューターMagazine』も、生まれたてゆえにゲーム紹介やレビューなどが十分でなく、 『Login』や『てれびくん』はあくまでファミコン情報はサブ扱いとなっており、『コロコロコミック』は特定のゲーム会社のゲームを高く評価しているものの、 その煽り具合やその反動によっては駄作をお勧めしている感もあり、全ての雑誌がゲーム情報を完璧に紹介しているわけではなかった。 このため、ゲーム情報雑誌が登場しても、ゲームの評価を決めるのはプレイヤーと外から入ってくる口コミであった。 もちろん、ゲーム雑誌で評価をする人もいたので、色々な情報源が混ざった結果、佳作だが一般的にクソゲーに入ってしまうゲームも存在した。 『バンゲリング・ベイ』・『ボコスカウォーズ』、そして『カラテカ』も一般的にクソゲーに認識されることとなってしまった。 内容は、カラテカがアクマ将軍の館にいる数名の部下に勝ち、数々のトラップをクリアしながら、一番奥に潜んでいるアクマ将軍を倒してマリコ姫を救出するものである。 カラテカのアクションは、攻撃について上段突き・中段突き・下段突きの3つの突き(パンチ)と、上段蹴り・中段蹴り・下段蹴りの3つの蹴り(キック)があり、 突きはBボタンで蹴りはAボタンで出すことができ、上中下のバリエーションは十字キーの下と斜め上をBかAを同時に押すことで発動する(中段攻撃はデフォルトでAとBを押す)。 それ以外のアクションは、直立の状態でBを押すと礼をし、下を押すと構えに入り、その状態で上を押すと直立、その状態で左か右を押すと走ることができ、構えの状態で直立と同じやりかたをするとゆっくりと移動する。 さて、敵との戦いは、まず礼をしてそれから戦うものであり、見事敵を倒すと次に進めるが、そのためには画面上にある青い四角のマークを一番右にもっていかなければならない。 つまり、これが体力を表すゲージとなっており、ピンチになれば点滅する仕組みである。 一方のカラテカのゲージは、左の赤い四角が目印となっている。カラテカの体力がなくなった(赤い四角が一番左に行った)とき、館内の柵のトラップにかかったときがゲームオーバーとなる。 この、トラップの対処法だがかなり難しく、かなりのプレイヤーがタイミングを見誤りゲームオーバーになる事態が発生した。 何しろ、タイミングを計っている最中に手下がわらわらと迫ってきて、タイミングがつかめないまま柵に串刺しか敵の人海戦術に飲まれることが多かったためである。 また、人海戦術が出てくるところは、柵のトラップのほかに館の入口がある。ここでも、こちらが急いで先に進まないと、どんどん新手がやってきてしまう。 そればかりか、館の入口付近の敵を倒して入る際に一瞬のタイミングをはずすと、走っている間に敵にぶつかり死んでしまうためである。 柵のトラップと走っての激突死、特定のザコ大量発生、これらの要素によりクソゲーという烙印を押されたカラテカ。 しかし、このゲームにおける理不尽な点は色々あったのだ。 スタート地点において、構えの体制を取った後に後ずさりをすると、いきなり崖から落ちてゲームオーバーになる。 この点も、理不尽と同時に笑いの種となり、カラテカを語る上で外せない要素となった。 そして、このゲームでの礼システムも、このゲームをクソゲーに追いやる一因ともなった。 カラテカが礼をすると、相手もすぐさま礼をするもので、これも一種のネタ扱いとなっているが、実は礼をせずに戦闘を行うと、敵がいつも以上に理不尽に強くなる。 これを知らずに、礼をしないで戦って最初の敵すら倒せずに、ゲームオーバーになる人が出る事態となった。 また、礼をしてから戦うといったやり方も、まさにアメリカ人の当時における間違った日本文化の知識を表しているものといえよう。 実はこのゲーム、アメリカのジョーダン=メックナー氏によって制作され、1984年にアメリカに登場し大ヒットを得た。 アメリカのゲームとしては、滑らかな動きやゲームの間に挟んであるデモも好評の的となった。 だがそれは、アメリカのゲームと比べてのことであって、既にアメリカのゲーム技術を大幅に上まっている日本では、 滑らかな動きがとろとろしている感じになっており、グラフィックにしてもかなり平坦であり、これもクソゲーの要因の1つとなった。 それに、ゲージ回復の手段が、時間経過と共に少しずつかつ戦闘中でしか回復できないことも、クソゲー要因の1つでもあり、 プレイヤーの多くはいつの間にか体力が回復していることに気づかないことが多く、気づいたとしても体力回復の恩恵は敵にも適用されるため、 ゲームが進むごとにそういったことによるストレスは、プレイヤーの間に蓄積していったのだろう。 だが、敵が下段攻撃を出した際にこちらが上段攻撃を出すといった戦略性や擬似的ではあるが体力ゲージの設定、上段攻撃で倒したときの勝利ポーズが違っていたりといった具合は、 まさに格闘ゲームを髣髴とさせるものであり、必殺技がないとはいえいい意味で『ストリートファイター』シリーズに先駆けたものといえる。 それと、中間デモのわかりやすさは、グラフィックが平坦とはいえなかなか味があり、次に進むごとに次の部下に指示するアクマ将軍や、 カラテカを待ちわびるマリコ姫は、英文や日本文がなくとも一目でわかるものであった。 現在におけるカラテカの扱いは、昔と違ってネットや雑誌の情報網により、よい部分も見つかるようになり、クソゲーか佳作かの割合は拮抗している。 まさに、クソゲーと呼ばれていたものが、現在において再評価されたといっていい。 それと、発売当時から一部の間でカルト的な人気を誇っていたらしく、それが新正工業(『ユタカ』前後の『ポピー』)からGBで『マスターカラテカ』が発売される。 もう1つの話題として、同名でお笑いコンビのカラテカは、このゲームのタイトルからとったものなのだが、2人ともゲーム系の話題が大好きであり、その手のコントもかなりやっている。 最後に、このゲームを開発したジョーダン氏は、カラテカのノウハウを生かし『プリンス・オブ・ペルシャ』を開発することになった。 ペルシャは、カラテカの要素をそのままにさらにグレードアップしたものといっていい。 アクマ将軍の部下が、兵士や悪徳商人などになったり、トラップがさらに凶悪化したりなど、キャラクターの動きがますます滑らかになっていることも合わさって、 様々な機種に移植されるほどの人気ゲームとなった。 このゲームも、その他のゲーム同様いとこの家でプレイしたものだが、最初の崖から転落するあたりで、思わず笑ってしまった。 また、構えずに走ってそのまま敵にぶつかって死ぬパターンも、昔子供だった私を笑わせてくれた。 ただ、肝心のゲームの面白さについては、最初の敵を倒したのはよかったが、アクマ将軍の館近くにわらわらと手下達が出てくるあたりは、さすがにどうしようもなくゲームオーバーになることがあった。 結局、このゲームをクリアできなかった私は、崖からの転落と体当たりでの死で満足することになった。 それから一昨年の10月、レビューを書く合間に久々にプレイしたわけなのだが、昔同様館入口で力尽きた。 すぐに、色々な攻略サイトを片っ端から調べて何度もプレイした結果、ようやくアクマ将軍を倒しマリコ姫と結ばれた。 色々、クソゲー呼ばわりされてるゲームだが、個人的には結構面白かった。上段蹴りが当たったときの爽快さや、中間デモのおもしろさは、私の心にグッときた。 だが、柵のトラップやその付近にわらわらと登場する手下達、あれは私にとって大きな欠点ではないだろうか。 それと、体力を回復する手段が極めて少なく、体力が少ないままでアクマ将軍と戦うのは正直言ってとてもつらかった。 ただ、当時としては意外にも1周エンドというのが救いではある(あれを2周以上やらされてはたまらない)。 今度プレイするときは、敵の体力を最低にする改造コードを使ってみようかなと思っている。 本日のまとめ 「押忍!!」 |