ルールは、初期資金を元に色々な目的地を回って、その道中にある各都市の資産を購入して、最終的に自分が設定した年数の間に、一番多くの資産を手に入れたものが勝ちとなる。
このあたりは、後の桃鉄シリーズとさほど変わりはないのだが、第1作目はさまざまな点で後のシリーズと違っている。
まず、1ターンが1ヶ月であるのに対し、1作目が1ターン1季(3ヶ月)となっている。
バッテリーバックアップやパスワードがないのも、そのためなのだろう。
2つ目は、都市にある購入資産が物件だけでなく、鉄道も加わっていること。
これは、桃鉄での物件購入の基礎が、まだ不十分だったということもあったのだろう。
事実、基礎が固まった続編以降は、都市での資産購入が物件のみとなっている。
3つ目は、サイコロにおける収支。
続編以降では、青マスや赤マスでそのターンの収支を決めているが、1作目は2つのサイコロによって収支が決まる仕組みになっていた。
つまり、2つのサイコロを振って収支を決めるわけだが、サイコロの目が少ないほど収入が多くなり、逆に多いと支出のイベントが多くなる。
ちなみに秋は、収支イベントよりも都市の移動や物件購入などといったイベントが多い。
4つ目は、海の移動が自動的だったこと。
第1作のフェリー乗り場は、長崎・千葉・釧路の3つで、一度フェリーに乗ると4ターン消費しなければならない。
続編以降のように、海上にもマスがあるわけではなかったので、秋のイベントの1部は若干違ったものになっている(すべて支出イベント)。
5つ目は、一定期に訪れるインフレの時期。
続編以降は、年数を重ねるごとに少しずつ収支の量や目的地到達の資金が多くなっていくが、1作目はゲーム開始から10年の間に2回インフレが行われる。
その代わり量は2倍となり、2回目もさらに2倍になって合計4倍のインフレを味わうことになる。
6つ目は、各プレイヤーの目的地がまったく違うこと。
つまり、自由気ままに擬似的に日本旅行を味わえることになる。
各都市をイメージした絵が、とてもバラエティ豊かになっているのも、無関係とはいえまい。
7つ目は、借金の概念がないということ。
続編以降は、払えなくなった支出を借金としているが、1作目は全く払えなくなっても借金を背負わずにすむ。
これを、『天下無敵の無一文』ということになり、無一文の状態で支出イベントが起こっても全く払うことはない。
8つ目は、プレイヤーの助けと足かせの存在がほとんどなかったということ。
相手を妨害したり、一気に30マス進めるなどといったカードの存在はなかったし、プレイヤーを悩ませる貧乏神もまだいなかった。
これらは、続編以降に登場するわけなのだが、言ってみれば第1作は資産を増やすより日本を旅するというイメージがより強くなっているとも言える。
ただし、プレイヤーの所持金を盗んでいくスリの銀次はすでに登場している。
桃太郎電鉄
発売日:1988年12月2日 発売元:ハドソン ジャンル:ボードゲーム
値段:5800円 おすすめ度:4(面白いけど、セーブができない…)
桃鉄シリーズ最初の作品ということで、さくま氏による様々なアイデアが導入されたものの、セーブができないことや都市と路線(主に主要なJR系を使用していたため)があまりにも少なかったことといった、第1作による不完全さはあった。
特に、自分の住んでいる都市(もしくはその近く)がないことにショックを受けたプレイヤーもいた。
とはいえ、物件購入や本社(支社)がピンチなどのイベントというような、後のシリーズにおける基本的な要素はほぼ抑えてある。
このゲーム発売後、桃伝をプレイした人はもちろん、鉄道を買えるということで鉄道ファンの人気を得ることとなった。
そして翌年には、PCエンジンで続編の『SUPER桃太郎電鉄』が発売されることになり、以降のシリーズの元となった。
だが、第1作こそが現在まで続くシリーズの人気を作ったことはいうまでもないだろう。
また、貧乏神を相手に擦り付けたり、一番早く目的地に着くために手段を選ばないといった殺風景を嫌って、いまだ第1作を愛する人もいることを考えると、まだまだ第1作も楽しみがいがあるものではないだろうか。
桃鉄シリーズの中で、私が最も好きな作品は第1作である。
確かに、それ以外のシリーズも面白いのだが、先にも書いたように貧乏神の擦り付け合戦や目的地までの競争、相手の妨害などもありなかなかに心安らぐことができない。
もっとも、私の出身より近い都市が出ていないのはなんとも寂しい限りだが、それでも他のシリーズと比べたらゆったりとプレイすることができる。
しかも、特定の駅での特別物件や季節ごとのイベントCGを拝見したときは、とてもうれしい気分になった。
やはり、セーブができないのはとてもつらいのだが、1年で4ターンである分2人プレイだと意外とあっさりと進んでいく。
私は、2人プレイで99年間に設定したのだが、続編以降と違って特におまけのエンディングはなかったのが残念だった。
最後に、桃太郎ランドに関する私の思い出を書いておきたい。
桃太郎ランドという物件は、プレイして間もない私にとって既に特別の存在だという認識を持っていた。
何しろ、50億というとてつもなく高い代物だったので、なんとしても手に入れるんだという気持ちがあった。
ただ、プレイする人がいないので結局はCPUとプレイすることになっていたのだが。
最初はほぼ互角の展開だったものの、いつの間にかCPUのほうが上にいってることが多くなった。
そして、CPUの桃太郎ランド購入をいつも見る羽目になり、そこでリセットを余儀なくされることが相次いだ。
長きに渡るリセット地獄の末、ようやく私が思いついたことは、人間のみプレイという結論に落ち着いた。
それも、1人で2人プレイするという形であり、これによりCPUが桃太郎ランドを購入することもなく、自分の思い通りにゲームを変えることができる。
その手法をとったことにより、ついに私は桃太郎ランドを購入することができた。
そのときの私は、とてもうれしかったと同時にこんなことをしててよかったのかといった複雑な心境となっていた。
素晴らしい物は、楽して手に入れるよりも苦労して手に入れたほうが、手に入れたときの喜びがより大きくなる。
私のやった桃太郎ランド購入方は、あまりにも邪道過ぎたのだが、プレイする人が私しかいないこととCPUの調子が割といい方向に向いてることを考えると、この手のやり方も卑怯とはいえまいと思ってしまう。
とはいえ、これをやるとあまりにも虚しい気持ちが強くなることに変わりはないのだが。
(07/1/16修正)
本日のまとめ
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