◆パックランド◆
不思議なことが当たり前



発売日:1985年11月21日   発売元:ナムコ   ジャンル:ACT
値段:4500円   おすすめ度:2(操作がつらい…)


パックマン一家の大黒柱である父親のパックマンは、ある日散歩の途中に偶然にも妖精を見つけました。 彼女はフェアリーの国の出身で、外の世界へ遊びに行ったら迷子になってしまったということです。 そこでパックマンは、迷子の妖精をフェアリーの国の女王に届けるべく、冒険旅行に出かけました。

しかしその道中には、パックマンの冒険を邪魔するモンスター達や、道中にある仕掛けや険しい地形のため、そうやすやすと行かせてくれません。 果たしてパックマンは、無事に妖精をフェアリーの国に届けることができるのでしょうか。 そして、フェアリーの国から帰る道中で待ち構えているモンスターたちに邪魔されずに、無事我が家に戻ってくることができるでしょうか?


1983年から数年間において、AC業界はナムコの天下であった。 それより前には、ニチブツやタイトーといったナムコに劣らない勢力を持つゲームメーカーの争いが耐えなかったが、 1983年登場の『ゼビウス』の爆発的ヒットに加えて、このころのナムコ以外の有力メーカーはいつの間にか力を落としてしまった。

ナムコは、ゼビウスの大ヒットを皮切りに、『ポールポジションU』や『ドラゴンバスター』、『マッピー』や『ドルアーガの塔』などの良作を次々に出し、さらにゲーマーの心をつかんでいった。 もちろん、時代が下るごとにコナミやセガなどのゲームメーカーが力をつけてくるようになり、時にはナムコの地位を脅かすゲームを登場させるが、それでもナムコの力は衰えることがなかった。

この絶頂期のさなかに登場したゲームの中に、パックマンシリーズの最新作が登場した。 その名は『パックランド』といい、パックマンシリーズの最新作ながらも、今までのシリーズとは一線を画すものであった。

なぜならば、一般のパックマンシリーズのジャンルはドットイートアクションなのに対し、パックランドは横スクロールアクションなのである。 この頃のナムコのゲームは、本当の新作に加えて従来のシリーズのリニューアル化も行っていたのである。

プレイヤーはパックマンを操り、迷子の妖精を連れてフェアリーの国の女王に会うのが目的だが、 ステージはここでは終わらずに今度は自分の家まで戻ることになり、家に着いた時点でようやくステージクリアとなる。


1ステージをここでは『トリップ』と呼び、1つのトリップに4つのラウンドが用意されている。 このうち、3ラウンドまでがフェアリーの国までの冒険で、最後の1ラウンドが我が家に戻るまでとなっている。

全トリップ数は8つとなっており、トリップ8をクリアするとループしてトリップ5のマップに戻り(トリップ数は9と表示される)、トリップ8のマップをクリアすると…という風に繰り返しとなる。

このゲームに登場するパックマンは、今までのシリーズのような半円形のキャラではなく擬人化されたものに変更されている。 これは、AC版のインストカードやポスターなどに、擬人化されたパックマンが登場しており、パックマンを横アクション風にする際、これらを参考にされたと考えられる。 また、AC版がアメリカに登場した時にアニメ化されたが、そのアニメで登場するパックマンとその家族が擬人化されていることも、パックランド誕生に関係があるかもしれない。

一方、道中を邪魔するモンスターは、パックマンの時と名前が違うがデザイン的にほぼ一緒である(せいぜい乗り物に乗っている程度)。 行動パターンは3つあり、空中を漂いながらパックマンに襲ってくるタイプと飛行機に乗るタイプ、建物のあるラウンドでその2階にいるタイプとなっている。

それに加えて、スーと小モンスターが追加された。 スーは、最初はパックマンをゆっくりと追いかけるが、時間切れになると同時に高速で追いかけてくる、一種の永久パターン防止キャラである。


小モンスターは、飛行機に乗ってるモンスターや2階にいるモンスターから落とされる。 当然パックマンは、モンスターたちを倒せる手段がないため、触れてしまえばミスとなる。

これを防ぐために、様々なパックマンを助けるためのアイテムが登場する。その代表的なものといえば、やはりパワーエサである。 これをとることで、シリーズ同様敵がいじけてしまうので、ここで反撃ができる。 ただし、これもシリーズ同様制限時間があるが、食われたモンスターはパワーエサ発動中に再び出てきてもいじけているままなので、今までのシリーズと違って完全に無敵である。

パワーエサ以外にも、パックマンを助けるアイテムが存在する。 小モンスターを頭で受け止められるヘルメットや、ワープできて7万点手に入るもの(各トリップのラウンド2しか存在しない上に、次のラウンドまでしかワープできない)、 モンスターに触れてもミスにならない透明パックマンなどがある。

このゲームでは、アイテムではなく隠しフィーチャーと呼ばれているが、その大部分が障害物を進行方法と反対側、つまり障害物を左に押すことで手に入る。

操作方法は、一般のゲームと比べてかなり特殊で、レバーはなく3つのボタンのみ使用する。 左右移動とジャンプだが、左右移動はボタンを連打することでスピードアップし、スピードが出ているときにボタンを押しっぱなしにすると、そのままの速度を保つことができる。


これらの操作を繰り返しながら、ゴールを目指さなければならないので、かなり体力や精神力を使うのだが、 それに加えて隠しフィーチャを出したりフルーツを取ったりしようとすれば、いつも以上の体力と精神力を使わなければならない。

さらに、モンスター達をよけたり数々のトラップをかわすことを考えればなおさらのことで、ようやく各トリップの3ラウンド目に入ったときには相当参っているかもしれない。

そのトラップだが、回転する丸太橋をはじめとして、ジャンプボタンを連打することで長距離ジャンプができるジャンプ台、所々に設置されている障害物があり、多くのプレイヤーを悩ませた。 トラップではないが、あるトリップのあるラウンドで開始早々大きな湖があるが、これを渡るには飛行機に乗ってるモンスターの力を借りなければならない。

つまり、モンスターの上に乗りながら湖を渡っていくことになるのだ。 こういったテクニックも、このゲームの大きな特徴であり、プレイヤーの腕の見せ所でもあった。

しかし、次のラウンドつまりパックマンが我が家に戻るときは、フェアリーの女王から迷子の妖精を送り届けたお礼として、 魔法の靴をもらうことになるが、これをはくことにより何連続もののジャンプをすることができるようになり、結果的に今までのラウンドよりも楽な展開になる。


それに、魔法の靴を手に入れる前のフェアリーの女王の対面やそのときの背景は、当時としては緻密に描かれており、 ようやく妖精の国に入ったときはあまりのグラフィックのきれいさに、思わず心が和むプレイヤーがいたという。 それ以外のグラフィックも、他のゲームよりもきれいに描き上げられており、パックマンをはじめとしてモンスターも大きくそれでいてこれも細かく描かれている。

こうしてパックマンは、妻と子供が待つ我が家に帰り、ここでパックマンの冒険は終わる。 だが、それはあくまで1トリップのことであって、この後もパックマンの冒険は続く。

一応、エンディングは存在しているが、それは各トリップのラウンド4にある、我が家にたどり着くパックマンとその家族が出迎えるシーンとなっている。

つまり、これはプチエンディングとなっており、真の意味でのエンディングはトリップ8のラウンド4での街シーンで、 モンスター達が小モンスターを落とす代わりに花を落とすのだが、これを普通に取ることで得点がもらえる。 その後、家族がお出迎えをしてハッピーエンドとなるわけだが、先ほどにも書いたように9以降も継続される。

さて、ゲーマーにおけるこのゲームの評価はというと、新しいパックマンシリーズを創ったということや一風変わった操作方法、 きれいなグラフィックやサイズが大きく心和むキャラクターなど、大いに評価できる要素はあった。 その一方、先に挙げた操作方法や普通に見ただけではわからないトラップの対処法など、問題となった点もいくつかあった。


このため、ヒットはしたもののさすがに大ヒットはしなかった。 それに加えて、『ドルアーガの塔』や『スーパーゼビウス』といった同じナムコゲームの大ヒットに押されて、一般のゲーム程度しか目立てなかった。

それでも、PCエンジンやX68000といった家庭用ゲーム機(パソコン)に移植されたので、やはりナムコゲームにおいてはずせないものだろう。 ちなみに、キャッチフレーズは『不思議なことが当たり前』となっているが、 このゲームをプレイした人はいったいどこに不思議なことがあるのかわからなかったという意見がある一方、隠しフィーチャーや魔法の靴といった要素こそが不思議なことと位置づける意見もあった。

ところでこのゲーム、翌年にFCに移植されたものの、翌年での移植ゆえかAC版のように完全な移植とはいかなかった。 ゲームシステムは、AC版を踏襲しているが、キャラクターはかなり小さくなっており、妖精の国も女王はおらず一面の花畑もない。 あるのは、AC版と同じ数の妖精2人と、『FAIRY LAND』という大きな看板が立っているのみという、なんとも寂しいものとなった。

そればかりか、パックマンの帽子の中から妖精が飛び出す描写もカットされており、そもそも妖精の国に入るためのドアもなくなっている。 さらに、各トリップのラウンド4で我が家で笑顔でお出迎えしている妻や子供の姿も、やはりカットされている。


これは、当時のFCの容量の限界故なのだろうが、AC版をプレイした人にとってグラフィックの美しさが肝であるのに、こういった要素の大幅な削除はただただがっかりするものだった。 それに加えて、十字キーで操作してAボタンでジャンプするといったゲームと違って、あまりに操作が特殊すぎたため、 一般のゲームに慣れていたプレイヤーにとって、パックランドの操作方法は難解すぎるものだったし、連打システムも全く変わっていなかった。

FCコントローラーは、3つのボタンがないために十字キーの上をジャンプボタンにすることで、AC版同様3つのボタンを駆使するようなことができるが、それでも難解なのはいうまでもなかった。

おまけに、この時期のFC業界は『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒットにあたり、全世界で600万本以上売れるという記録をみせた。 この、スーパーマリオとパックランドの操作方法を比べれば、両者の人気の雲泥の差はあまりにも激しいことがよくわかるはずだ。 結局、FC版はAC版と同じくらいのヒットにはなりえず、いつしか消えていってしまった。

しかし、このゲームの世界観はFCユーザーでも好意的に評価をしていたので、FC版発売から9年後にパックランドと同じ世界観である『ハロー!パックマン』が発売されることになった。 ただ、パックランドと違ってプレイヤーはパックマンを操作できないので、プレイヤーがパックマンを行動させるというパックランドとは違った難しさがプレイヤーを悩ませた。

このゲームは、他のゲーム同様いとこでプレイしたゲームの1つなのだが、あまりやりこんでいないのか当時の記憶はほとんどない。 覚えていることといえば、一般のゲームと違った操作方法だけで、これがパックランドをやりこませなかった要因かもしれない。

それから昨年、このゲームをレビューするがてらやりこむという気持ちで望んだのだが、Bボタンが左でAボタンが右、連打でスピードアップして十字キーの上でジャンプする…。 この、特殊すぎる操作方法は、いきなり私を挫折寸前にまで追い込み、トリップ1をクリアするのに相当の時間がかかった。


前に私は、このゲームについての記憶がないと書いたが、それはFC版のことであってAC版(ナムコミュージアム版)はもちろんPCエンジン版をプレイしたときの記憶は残っている。 だが、FC版同様操作方法についての記憶は完全に忘れており、ようやくFC版に慣れてきたと同時に、AC版やPCエンジン版のことは結構忘れてしまっていた。 しかも、久々にPCエンジン版をプレイしていたら、PCエンジン版があまりいい移植ではないと勘違いしてしまった。

ちなみに私は、ジョイスティックを所持していたので、連打によるスピードアップが楽になるかと思いきや、なぜか連続ジャンプするということに陥り、結局ノーマルコントローラーでプレイせざるを得なかった。 おかげで、ゲームなのに運動しているみたいで、やたら疲れると感じた。 とりあえず、トリップ8までクリアはしたのだが、次のトリップを見た時点で即プレイをやめることにした。

このゲームについての私の感想だが、隠しフィーチャーを見つける楽しみや色々な仕掛けの対処法の見つけ方など、 このゲームをクソゲーと認識はしないが、かといって名作と呼ぶわけにはいかず駄作ということにしておきたい。

レビュー修正をする前に、久々にプレイしたのだが、プレイしていたら連打の悪夢がよみがえってしまい、トリップ1を終えた時点ですぐやめた。 しばらくは、パックランドをプレイすることはないだろうが、それも結構長い間はFC版以外でもプレイすることはないだろうと思う。



本日のまとめ



BREAK TIME

(07/1/29修正)
伝説のスターブロブ2への掲載:2019年4月6日
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