ずっといつか話そうと思っていたんだが温まってしまったというよくあるヤツです。 何かを作っていた、その中のとある要素が没になった、そしてまた製作を続けた、 その没要素を何かの形で生かす、製作完了…というのは、よくある流れなんじゃないだろうか。

手前砂糖ではございますが(そんな日本語はない)、白蛇シリーズに出てくるキャラクターの外見は 小学校低学年の頃にノートに描いていた漫画のキャラのリサイクルだったりすることがまれによくあります。

ウサギやネコやハムスターのキャラが出てくる漫画を描いており、その人間の姿はこんなのかな? みたいに横に描いていて、そのウサギの人間体の外見が「月夜に詠う白蛇」のアリアの元になったり、 「時と空とテラメリタ」のカリンというキャラはそれより前に考えていたお話の魔女の「シャルロット」、 「オキシライド博士」はシャルロットと一緒にいた小さな「コロン王子」というのが元になっていたりと 自分の場合は全くアイデアマンではないので考える時間を省略するという意味で使うことが多いけど 大抵はきっと「思い入れがあったから何かしらの形で残したい」というものでしょう。たぶん。

手前醤油で大変失礼いたしましたが、要するに「製品版のポケモンには没要素がリサイクルされてそう」 って話です。そういうものは随所に見られるけど、その中のひとつが…「名前」。

まず、初代ポケモンで没になったトレーナー「しんじゅくジャック」。 発言のときの「むしとり」や「かいパン」のように短縮形のテキストデータである「ジャック」も残っていますが、 残念ながら製品版のポケモン赤緑には登場しなかった謎の人物です。

が、この「ジャック」、 多分この「なまえこうほ」でリサイクルされてるんだと思う。

「なまえこうほ」の1番上は「じぶんできめる」、RPGの主人公の名前は デフォルト名or自分の名前を入れるものだろうから、「じぶんできめる」が 最上段にあるのはとても納得。

大体「ポケットモンスター」はポケモンの交換をプレイヤーに楽しんでもらいたいものなのだから、 「おや」の名前が違うのがある意味前提なところがあるはず。そして一つ目の「なまえこうほ」は「レッド」。 後に「初代の主人公の名前」となった「レッド」ですが、この頃はまだただの「名前候補の一つ」でしかなく、 この姿の人物の名前がレッドというわけではありませんでした。

そして名前候補が「レッド」であるのは「ポケットモンスター赤」というソフトだから。 当然「ポケットモンスター緑」の名前候補の一つ目は「グリーン」です。

二つ目の「なまえこうほ」は「サトシ」。これは後にアニメ版ポケモンの主人公の名前にもなりましたが、 この名前はほぼ確実にポケモンの生みの親「田尻智」さんのお名前が元になっているはず。 「レッド」と「サトシ」という二つの名前候補には「ゲーム的に納得のいく由来のある名前」です。

…が、それなら「ジャック」ってなんなのさということになる。

一般的な海外の方のお名前?この外見を持つ人物にあまりにピッタリなネーミング?…では、ないだろう。 それに下にもう一つ明らかに名前が入りそうなのに「ジャック」の下には名前がもうない。

我々は初代ポケモンの没テキストの中に「ジャック」という文字列があることを知っているし、 ベータ版ポケモン赤緑には「しんじゅくジャック」という没トレーナーがいることも知っているが、 普通に「ポケットモンスター赤」をプレイするキッズにとって、「ジャック」という文字列は なんで「ジャック」なの?でしかないはずだ。

だが、わざわざ、「レッド」、「サトシ」と並んで表示される「ジャック」。 製作者様からすると、この「ジャック」、とても思いいれのある名前、そして存在だったんだろうか…? なんにしても、「ジャック」は「没トレーナーの名前のリサイクル」なんだろうと勝手に思っています。

没トレーナーは他にもいるけど名前に一番しやすいのは「ジャック」です。 まさか「なまえこうほ」に「チーフ」と入れるわけにはいかんしな…。

ちなみにピカ版の「なまえこうほ」にも「ジャック」はいる。 「ピカチュウバージョン」であり「イエローバージョン」ではないのだが、 画像データには「イエローバージョン」という表記があるのは確認済みだし海外版ではそれが正式名称。

だから「なまえこうほ」に「イエロー」があるのはとても妥当です。

アニメのポケモンもすっかり浸透した頃であり、そのアニメを意識した「ピカチュウバージョン」の 「なまえこうほ」に「サトシ」がいるのもとても納得。だが「ジャック」。 あくまで、ジャック。赤のを流用したんじゃ?と思ってもいいが、青を経由してるし…。 (ちなみに青は「ジャン」)

…という、赤緑の「しんじゅくジャック」の痕跡の話…ではありません。 今回の話というかずっと話そうと思っていたのはそれではありません。前置きが長い!

97年ベータ版金銀にも、99年ベータ版金銀にも、どちらにもわずかにその存在だけが確認できる 謎の人物あるいは団体の「ゲルゲだん」。97年ベータ版ではトレーナーだったことが判明しているし、 99年ベータ版ではチョウジタウンのロケット団地下アジトに「ゲルゲ」と呼ばれる存在としてイベントに 登場したことが分かっています。

そして海外のお方、Blackmushさんから頂いた情報+改めて自分でも資料を読んでみて確認したので これも明らかとなっている情報として「ゲルゲだん」の中の個人名が「オオタ」と「マサオ」であったということ。

オオタってのは苗字っぽいけど、マサオってのはすごくファーストネームです。 マサオ。マサオ…どっかで聞いたような…どこで見たんだその名前…マサオ…?

………いた。

「ポケットモンスター銀」の「なまえこうほ」に!その最下段に!ひっそりと!!ぼくらの「マサオ」がいる!! 赤緑に比べて「なまえこうほ」が一つ増えており、その一番下に「マサオ」の文字があります。

先ほどの「ジャック」と同じ「一番下」というポジション。日本人の数ある名前の中から選ばれた「マサオ」という名前。 これは偶然ではないのでは…。

ちなみにこの「マサオ」という名前のトレーナーは、99年ベータ版金銀には「だいすきクラブのマサオ」として存在しており、 製品版金銀では「だいすきクラブのアキヒト」に変更されています。97年ベータ版金銀では主人公の兄だった(人と姿と名前が同じの) 「エリートトレーナーのケン」の次ぐらいに「むしとりたいかい」で好成績を収めてくるトレーナーであり、 もしかしたら「マサオ」も「ケン」と同じぐらい強く設定されているのかもしれません。けど真相は闇の中です。

とゆーわけで、温めていた話というのは「ゲルゲだん」の一人の名前である「マサオ」は、 赤の「なまえこうほ」の「ジャック」と同じように銀の「なまえこうほ」の一つとして使われているのかも、 というだけのことです。なんて中身がないのでしょう。

まだまだ謎に包まれている「ゲルゲだん」。いつかその神秘のベールが取れるときが…来ていいのか…?

2020年11月13日


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